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清水建設とトヨタユー・グループによるバイオマス事業「信州ウッドパワー」、第一号の木質バイオマス発電開始。地元森林の間伐材等を原料に。長野県・東御市で(RIEF)

2020-07-17 14:46:22

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 清水建設とトヨタ ユー・グループが共同で進めているバイオマス事業会社の「信州ウッドパワー」が長野県東御市で進めていた木質バイオマス発電所が15日から発電を始めた。同発電所は、地域の森林から集めた未利用材を燃料とする林業振興、雇用創出などで事業と地域貢献の両立を目指す。最近、各地で問題化している輸入ペレットなどに頼った大型バイオマス発電とは一線を画した事業といえる。

 

 稼働したバイオマス発電所は信州ウッドパワーが東御市から購入した羽毛山工業団地内の敷地に、約30億円を投じて建設した。同社子会社の「信州ウッドチップ」が地域の森林から調達する間伐材などの原木を原材料として切削チップを製造する。これを燃料に出力1990kWの発電装置を稼働させる。年間発電量は約1350万kWhで、固定買取価格制度(FIT)で中部電力に売電し、年間売電収益は5.4億円を見込んでいる。

 

 発電原料となる原木の使用量は年間約3万㌧。信州ウッドチップが調達先となる地元の森林施業者、森林組合、山林所有者などに支払う原木買入額は、年間1億5000万円になるという。間伐材などの未利用材に加えて、マツクイムシによる被害材もチップ化して燃焼として利用できるため、現地で問題化している膨大なマツクイムシ被害材の処理や、森林保全育成への貢献も見込める。

 

木質チップの製造工程
木質チップの製造工程

 

 地域密着型に加え、林業のICT化を促す先進的な取り組みも盛り込んでいる。発電プラントの運用を遠隔地から支援するプラント運用支援システム(三菱日立パワーシステムズインダストリー製)や燃料となる原木の調達ルートを的確に認証できるGPSトレーサビリティーシステム(JEMSと共同開発)等だ。

 

 労働負荷が大きいプラントへの燃料チップ投入作業も自動化(日立プラントメカニクス製クレーン採用)されている。発電所の運用およびチップ製造業務において、地元を中心に12名の新規雇用を創出した。

 

  清水建設と信州ウッドパワーは今後も、今回のような原木の調達とチップ製造、燃料投入の自動化などの各事業をフルパッケージ化した事業を各地で展開することを目指すとしている。

 

https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020011.html