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東大、パナソニック等の研究チーム、火力発電所・工場等からの熱水排熱を蓄える「長期蓄熱セラミックス」を開発。エネルギー有効活用と環境負荷低減を実現の可能性(RIEF)

2020-08-10 09:58:33

ramuda001キャプチャ

 

 東京大学理学部の大越慎一教授のほか、東京工業大学やパナソニック等の官民研究者が、発電所や工場から放出される熱エネルギーを長期にわたって蓄えられる「蓄熱セラミックス」を発見した。火力発電所などの燃焼から出る熱水(100℃以下)の熱エネルギーの多くは、ほとんど使われず無駄になっているが、開発したセラミックスに蓄熱することで、有効活用できる可能性が出てきた。

 

 開発したのは、大越慎一教授のほか、東京工業大学の東正樹教授、パナソニック・インダストリアルソリューション社の中村嘉孝氏、神奈川県立産業技術総合研究所の酒井雄樹氏。Science Advancesに掲載された。

 

 研究チームが発見したのは、スカンジウム置換型ラムダ五酸化三チタン(λ-ScxTi3−xO5)という物質。五酸化三チタンというセラミックスのチタンの一部をスカンジウムに置き換えたもの。実験では、同セラミックスで、38~67ºCまでのお湯あるいは熱水の熱エネルギーを永続的に蓄えることができるという。

 

 熱を取り込むと、結晶の構造が変わり、形状の変化で蓄熱できる。極低温まで下げても構造は変化せず、熱を取り出すときは圧力をかけて構造を変えれば、熱だけを放出するという。望みのタイミングで熱エネルギーを取り出せるわけだ。

 

 発電所や工場、自動車などからの廃熱エネルギーを蓄えて、有効に再利用できる可能性につながると期待される。また現状は、熱水を河川に放出することによる周辺環境への悪影響が懸念されているが、それらを防ぐこともできるとしている。

 

https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/6908/