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旭化成、自家発電保有の石炭火力発電所を2030年までにゼロに。水力発電、ガス火力等で代替(各紙)

2020-09-27 13:12:13

asahikaseiキャプチャ

 

 各紙の報道によると、旭化成は2030年までに、現在保有している自家発電用の石炭火力発電の使用をゼロにする。宮崎県等に保有する自社の水力発電所をリノベーションするほか、22年には同県延岡市に天然ガス火力発電を設置するなどで、石炭火力への依存比率を現行の3割程度から、ほぼゼロになるとしている。TCFD提言に基づき企業の気候財務リスクの把握と低減が求められる中で、自家発電の脱炭素化が進みそうだ。

 

 日本経済新聞が報道した。旭化成は、創業以来、工場で使用する電力を自家発電するため、宮崎県の五ヶ瀬川水系で合計9カ所(最大出力合計 56.84MW)の水力発電所を所有しているほか、石炭火力発電所も5カ所に保有している。水力発電については、完成後70年以上を経過していることもあり、今年6月グリーンボンド100億円を発行し、耐震強化と改善を進めている。

 

 五ヶ瀬川水系の水量は従来と変わらず豊富で、水力発電所もいったん改修整備すると、引き続き100年ぐらいは発電を続けることができるという。同社では安定的な再エネ電源として活用していく。同社は、2019年度からの3カ年の中期経営計画「Cs+(シーズプラス) for Tomorrow 2021」で、「サステナビリティ」を経営の重点要素と位置づけている。https://rief-jp.org/ct10/102400

 

 水力発電所の改修によって、2026年ごろまでに発電能力を現在に比べ9%高める。投資額は数百億円規模になる見通しで、引き続きグリーンボンドの発行での調達が期待されている。同社の水力発電は20NW以下で、環境省のアセスメントの対象外で、追加的な環境負荷等は最小限に抑えられる見通しという。

 

 自家発電を再生可能エネルギー等のクリーンエネルギーに切り替える動きは他社でも広がってる。トクヤマは6月に自社工場用の石炭火力の一部廃止を決めた。ユニ・チャームは9月から九州の工場用の購入電力をすべて再生エネ由来にした。積水化学工業も30年度までにグループで購入する電力の全量を再生エネにする。現状は1%以下だが、環境対応用に設けた400億円の投資枠を活用して比率を高めるとしている。

 

 経済産業省によると、CO2排出量が多い非効率な発電方式の石炭火力は現在、国内で118基あり、このうち約7割(発電能力は約3割)は電力会社以外の鉄鋼や化学メーカーなどが保有する自家発電向けとなっているという。

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200927&ng=DGKKZO64294370W0A920C2MM8000