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韓国電力公社(KEPO)、ベトナムのブンアン2石炭火力事業に参加決定。EPA事業も韓国勢が受託。「日韓連合」で石炭火力事業のベトナム輸出へ(RIEF)

2020-10-08 15:47:50

Vunan2キャプチャ

 

 韓国電力公社(KEPCO)は、三菱商事が進めているベトナムでのブンアン2石炭火力発電事業への参加を決めた。三菱商事と連携していた香港企業が「脱石炭」で撤退した後をKEPCOが埋める形になる。同事業には、日本と現地の環境団体が反対しており、韓国でも反対の声が強いが、設計・調達・施工(EPC)事業も韓国勢が引き受けることを条件に、「日韓連合」で事業運営することになったようだ。

 

 ブン・アン2石炭火力をめぐっては、今年初め、小泉進次郎環境相も石炭火力輸出に反対姿勢を示したが、その後、同相は同火力についての言及は避けている。https://rief-jp.org/ct1/98476

 

 同発電所は、ベトナムのハティン省で600MW級の超々臨界圧石炭火力発電(USC)の発電設備を2基建設する計画。当初は三菱商事のほかに、香港の電力会社CLPホールディングスが出資の予定だった。しかし、CLPは昨年12月に脱石炭方針を発表し、同事業から撤退した。このため、三菱商事はCLPの代わりの出資企業を探していた。

 

 同事業からはCLPのほかに、融資を検討していた英国のスタンダード・チャータド銀行、シンガポールのOCBC銀行、同DBS銀行等の金融機関も撤退した。EPCを担当する予定のGEも今年9月21日に撤退を表明した。一方、KEPCOは三菱商事からの打診を受けて、事業が投資採算にのるかどうかの予備的審査等を実施してきた。

 

 その結果、KEPCOが関与することになる事業期間中(2020年~2048年)に発生する支出と収益の現在価値を比較した場合、KEPCOの損失分は7900万㌦(958億ウォン=約86億円)になるとの試算結果等が明らかになった。日韓の環境団体は、今後、KPCOが負担する費用はさらに増加すると指摘していた。

 

 政治的には文在寅政権も、石炭火力事業の縮小を打ち出している。先月には、公共機関の海外石炭発電事業への参加を原則禁止する内容を盛り込んだ「海外石炭発電投資法4法」案を提出している。にもかかわらず、KEPCOが出資を決定したのは、GE撤退後のEPA事業について、三星物産と斗山重工業が参加するという実利的な「プラス要因」に加えて、日韓の政治混迷を経済面での連携で緩和したいとの思惑もある、との見方もできる。

 

 環境NGOの気候ネットワーク(KIKO)は、「気候変動、環境社会、経済性の観点からブンアン2石炭火力発電事業が推進されるべきでないことは明らか」と指摘。事業主体の三菱商事のほか、融資を検討している国際協力銀行や日本貿易保険、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行らにも「気候変動を加速させる事業への融資をすべきではない」と働きかけていく方針という。

 

 また損害保険大手3社は最近、そろって新規の石炭火力発電事業の保険引き受けを停止する方針を打ち出している。動き出そうとするブンアン2事業に保険大手がどう対応するかが注目される。

https://www.hankyung.com/economy/article/202010054983i

https://www.kikonet.org/press-release/2020-10-05/KEPCO-VA2