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原発事故賠償金の電力料金への上乗せは「違法」と新電力事業者が国(経産省)の決定取り消しを求める訴訟。法律に基づかず、役所の省令だけで決定(各紙)

2020-10-16 11:11:01

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 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故に伴う賠償金や廃炉費用などを一般家庭の電気料金に上乗せし徴収することを国が認可したのは違法として、再エネ電力を供給する小売り電気事業者「グリーンコープでんき」が15日、国の決定の取り消しを求めて、福岡地裁に提訴した。同種訴訟の提訴は全国でも初めて。

 

 原告の「グリーンコープでんき」は、全国の15の生協などでつくる「グリーンコープ共同体」(福岡市)が共同で設立した新電力事業者。

 

 訴状によると、経済産業相は、小売り電気事業者が電力供給する際、法律の定めがないのに、電力会社に支払う電線使用料(託送料金)に東京電力の原発事故の賠償金を上乗せする省令改正を行い、小売事業者に支払い義務を課した。経産省の省令改正は、2017年9月に実施され、今年7月から施行されている。

 

記者会見する「グリーンコープでんき」の熊野千恵美代表理事㊧
記者会見する「グリーンコープでんき」の熊野千恵美代表理事㊧

 

 原告は法律に基づかないこうした措置は無効とし、託送料の支払い対象となる九州電力の子会社「九州電力送配電」に対する認可の取り消しを求めている。グリーンコープでんきの負担増は年間約290万円となる。同社はこの増額分については、消費者の利用料金には上乗せしないとしている。

 

 グリーンコープでんき側は託送料金について、電気事業法が「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」と定めていることを踏まえ、原発事故の賠償金などを電気料金に上乗せできる省令改正は「電気事業法の委任の範囲を超え、(国会の立法権を定めた)憲法41条にも反する」と指摘している。

 

 記者会見したグリーンコープでんきの熊野千恵美代表理事は、上乗せを認めた省令改正について「経産省は原発の電力は安いと言いながら、なぜ追加で徴収するのか。多くの国民が知らない中で徴収されるのはおかしい」と批判。訴訟を通じ「多くの人が考えるきっかけになってほしい」と述べた。

 

https://www.nippon.com/ja/news/yjj2020101500715/

https://greencoopdenki.jp/