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京都・福知山市で住民被害を起こしていたパーム油発電所、事業者が廃止決定。新型コロナウイルス感染拡大で、パーム油確保困難。輸入燃料に頼ったバイオマス発電の「盲点」を露呈(RIEF)

2020-12-29 15:04:48

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 京都府福知山市で、輸入パーム油燃料使用によるパーム油発電所が、近隣住民への騒音・悪臭問題を引き起こすとともに、輸出元での生態系損失問題も惹起していたが、事業者の三恵観光(本社・福知山市)が発電所の廃止を地元自治会に通知した。同発電所は、今年春以来、輸出元マレーシアのパーム油を製造するアブラヤシ農園等が新型コロナウイルス感染の影響で閉鎖され、その後、燃料価格の高騰で調達が困難に陥っていた。

 

 同発電所は福知山市土師新町に設置され、2017年6月に稼働した。発電所は最も近い住宅まで約40mの距離にあり、稼働開始直後から、周辺に騒音と油を焦がしたような悪臭が漂うとともに、発電機の始動・停止時には煙も排出されていたという。このため、近隣の住民の中には、めまいや睡眠障害、ストレスによる体調不良などの健康被害や苦痛を受ける人も出るなどしていたため、事業会社の三恵観光に対して対策を求めてきた。

 

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 しかし、同社の対応は十分にはとられていないとして、今年7月、住民たちは騒音・悪臭の対策や損害賠償を求めて京都府公害審査会に調停を申請した。今回、同社は自治会に対する通知の中で、事業廃止の理由を「新型コロナの影響によりグループ全体の事業の見直しを行った結果」と説明しているという。

 

  コロナの影響に加えて、中国での石炭火力からのバイオマス発電への転換等の影響で、RSPO認証付きのバイオマス燃料の価格が倍近くに上昇したことも、福知山のパーム油発電の再稼働を困難にさせたとみられている。

 

 さらにマレーシアやインドネシア等での熱帯雨林保全を求める環境NGOらが、同社のパーム油発電事業が国連の持続可能な開発目標(SDGs)に反する活動だとして、金融機関や商社等の同社との取引の見直しや、ESGエンゲージメントの強化を求める運動を展開したことも響いたとみられる。

 

 地元の「三恵パーム油発電所被害者の会」の三谷義臣会長は、「まずは一安心という気持ちだが、これで終わりではない。同社に対してはこれまでの被害に対して損害賠償を求めている。今後は弁護士と相談して対応していきたい。また、この間の福知山市の対応についても検証していきたい」としている。

福知山のバイオマス発電所がビジネス的な観点から再稼働できない理由 – パーム油火力発電所なんかいらん! (maizuru-palm.org)

福知山市・パーム油発電所が廃止に 騒音・悪臭で近隣住民が健康被害訴え公害調停申し立て | 京都民報Web (kyoto-minpo.net)