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タイ、2030年の自動車生産に占める電気自動車(EV)比率目標を30%に。産業相が公表。温暖化対策と大気汚染対策を強化。内外のEV生産メーカーに減税等のインセンティブ(各紙)

2021-02-12 15:31:03

Thai001キャプチャ

 

 タイは2030年までに自動車生産の30%を電気自動車(EV)とする目標を固めた。産業相がメディアに表明した。温暖化を加速するCO2の削減だけでなく、ガソリン車等の排気ガスによる健康被害の減少にもつながるとしている。EV生産増強のため国内に製造拠点を持つ自動車メーカーに減税等のインセンティブの付与を強化する。

 

 Bloomberg等が報道した。産業相のSuriya Juangroongruangkit氏がインタビューに答えて、「政府として、環境・大気汚染改善にフォーカスした国家戦略として、EVの生産と使用を加速したい」と述べた。電動化の対象となる車種は乗用車のほか、バス、オートバイも含めるとしている。

 

Suriya氏
Suriya Juangroongruangkit氏

 

 タイはアジアの中で自動車生産のハブの役割を果たしており、トヨタ自動車、日産自動車等の日本の自動車メーカーをはじめ、欧米のメーカーも拠点としている。このためタイの自動車生産のEV重視戦略は、アジアの各国にも影響を与える期待がある。

 

 現地の日産自動車の消費者調査によると、タイの国民の91%は環境への影響が少ないとの理由でEV車購入を望んでいると回答した。また現在、ガソリン車等の非V車を保有する人の3%は、3年以内に買い替える際にはEVにしたいと答えている。

 

 タイをはじめとする東南アジア地域では、CO2排出増による気候温暖化問題だけでなく、大気汚染による健康悪化問題が依然大きな課題となっている。自動車の排ガスからの汚染物質流出は、東南アジアで広く行われる焼き畑や森林伐採に比べると、大気汚染への影響度は少ないものの、市民の環境意識は高まっており、政府は、EV化促進政策は消費者の後押しも得られるとみている。

 

 Suriya産業相は、EV生産と使用を高めるための政策として、EV購入者に対する減税措置のほか、駐車場での優遇措置(駐車料金の割引を含む)、自動車メーカー向けの投資優遇措置、国全体で電気チャージポイントの整備等をあげている。

 

 タイの投資委員会(Thailand’s Board of Investment)はすでに、豊田、日産、メルセデス―ベンツ、BMW等の外資メーカーを含む12の自動車メーカーに対して、EV生産の優遇策を提供している。さらに昨年11月には、サプライチェーンでのEV関連部品等の生産増強のため、期間3年の免税措置をプラグインハイブリッド(PHV)の生産メーカーに提供を決めたほか、EVメーカーに対しては8年間の法人所得税免除を打ち出している。

 

  タイ工業連盟(FTI)によると、2020年のタイの年間自動車生産台数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、前年年比29%減の142万6970台だった。ガソリン車やディーゼル車等の落ち込みが大きかったが、EVは1.4%増とプラス成長している。