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米環境団体NRDCの原子力科学者が、福島原発事故を調査する米議会の独立委員会設置を要請(FGW)

2011-04-15 18:06:46

米Natural Resources Defense Council(自然資源防衛評議会)の原子力科学者であるDr. Thomas Cochranは米上院環境公共事業委員会で証言し、米議会に東電福島原発事故を調査する独立委員会を設置するよう要請した。その理由は、現状の原子力規制委員会(NRC)は過去の失敗を客観的に分析することができないためとしている。事故を起こしたわが国自体、そうした「過去の失敗の責任者たち」が、対応策を担っているところに根本的な問題があるということを示している。

 Cochran氏は、議会証言の前に、NRDCが実施した福島原発に伴う放射能流出データを公表した。それによると、今回の事故は、放射能の流出という点では、スリーマイル島の事故よりも大きく、チェルノブイリよりも小さいという位置づけをしている。報告書の詳細:http://www.nrdc.org/nuclear/files/tcochran_110412.pdf

 ただ、経済的な影響は、人的被害への賠償等を含めず、原発代替の化石燃料発電への切り替えだけで、毎年、数10億㌦(数千億円)規模の追加支出が必要と試算している。経済的影響はスリーマイル島事故よりもはるかに大きくなる。

 議会に独立委員会を設立する理由は、NRCへの不信に加えて、現在、全米で稼働中の福島原発と同様の旧式デザインの原発を使用延長せずに、早急に廃炉に持っていくための、政治的決断が必要なためでもある。 

 今回の事故の検証と、今後の対応のためには、日本でも、これまで原発建設を推進してきた経済産業省・資源エネルギー庁等では、自分の失敗を検証したうえで、より安全、より効率的な仕組みを提案できるとは思えない。国会において、詳細なデータに基づき、現実を踏また議論を経た上で、迅速な対応策づくりが求められる。だが、わが国の国会、政治家の間に、そうした活動を推進できる人材が、与野党を見渡して、どれだけいるだろうか。

 この際、米議会で独立委員会が設けられたら、そこで日本の政治家や官僚等の証人喚問をやってもらったほうが、客観的に物事を整理できるかもしれない。