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「近く賠償範囲などの指針提示」。原子力損害賠償紛争審査会が初会合(FGW)

2011-04-16 15:37:39

文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の第一回会合が、4月15日開かれた。同審査会は、東京電力の原発事故で損害を被った人・企業などと、東電の間の損害賠償を迅速に進めるための指針を策定することを目的としている。東電事故の影響が明白なケース向けの指針については、来週中にも示す方針。

 各メディアの報道を総合すると、審査会の能見善久会長は会合後記者会見し、国の指示で避難した住民の避難費用や休業補償などのように損害額が明確に示せるケースについては、早急に指針を示すという。損害賠償の対象は、事故による身体への影響、財物の損害、避難費用、健診・検査費用、休業による営業損害など、社会的な通念から相当と認められる範囲で因果関係が想定されるものが対象となる。それらの因果関係を裏付ける資料があれば、請求が認められる可能性が高い。

 また原発周辺地域での野菜や魚などの出荷制限や風評被害などによる損害については、7月をめどとして賠償範囲などを示す最終指針を定める予定。JAグループは別途、東電に対して農産物や水産物の被害補償請求をしており、損害賠償訴訟を提起するとともに、審査会にも和解仲介を求める、としている。

 審査会の委員は以下のとおり。
 大塚直・早大大学院法務研究科教授
 鎌田薫・早大総長(法務研究科教授)
 草間朋子・大分県立看護科学大学学長
 高橋滋・一橋大大学院法学研究科教授
 田中俊一・(財)高度情報科学技術研究機構会長
 中島肇・桐蔭横浜大法科大学院教授(弁護士)
 能見善久・学習院大法務研究科教授(会長)
 野村豊弘・学習院大法学部法学科教授
 山下俊一・長崎大大学院医歯薬総合研究科研究科長
 米倉義晴・放射線医学総合研究所理事長