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名取市職員の3月残業代 市長が半額カット 県、是正指導(河北新報)

2011-04-29 13:18:26

 宮城県名取市で東日本大震災の対応に当たった市職員の3月分の超過勤務手当が1億6000万円に膨れ上がったため、佐々木一十郎市長が半額カットして支給したところ、市職員労働組合が反発、県の是正指導を受けて正規の通り支払われることになったことが27日、分かった。未払い分約8000万円は、5月支給の給与に上乗せされ支払われる見通し。

 市によると、削減対象となったのは3月11日以降の震災対応の残業や深夜・宿直勤務、休日出勤で発生した超過勤務手当。管理職を除く市職員530人分で、4月21日に支払われた。 超過勤務は1人平均約100時間、約30万円だったが、15万円カットされ約15万円が支払われた。消防や水道復旧に携わった職員の中には、月200時間を超えたケースもあった。
 同市の超過勤務手当は年間約2億円だが、1カ月でその8割を占めたことになる。 佐々木市長は「震災で無収入の市民が大勢いる。避難所では多くのボランティアが無給で働く。そんな時に基本給がある市職員が、割り増し手当を満額受け取るのは市民感情として許されない」と削減した理由を語る。
 削減に労組側が異議を唱え、事務レベルで交渉したが物別れとなった。その後、この情報が県に寄せられたという。 県市町村課は「明らかな労働基準法違反で、罰則規定もある。市民感情というが、法令上は許されないこと」と市に是正を求めた理由を語る。

 市職員労組の足利弘昭委員長は「被災した市民のため、超過勤務手当の一部を役立てられないかと組合で検討しようという矢先に有無をも言わさぬ形でカットされたため、組合員の中に反発があった」と説明する。
 労組は支給される手当から復興財源として市に寄付するよう、組合員に呼び掛けていくという。