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前田建設、セシウム95%除去のプラント 効率除染へ技術開発 (各紙)

2012-09-07 11:59:14

前田建設の頭文字である「M」の中の青空に浮かぶ緑の地球。
前田建設の頭文字である「M」の中の青空に浮かぶ緑の地球。


各紙の報道によると、東京電力福島第1原子力発電所の事故により放射性物質で汚染された土壌の効率的な除染に向け、企業の技術開発が加速している。前田建設工業などは、伐採した枝など植物の細胞に入り込んだものも含めて放射性セシウムを95%以上除去できるプラントを開発した。中間貯蔵施設などで管理が必要な汚染土壌の量を大幅に減らすことができ、遅れている除染作業の推進や費用コスト低減につながる可能性がある。


 環境省は、地表の土を削り取ることなどで発生する汚染土壌などの量を、福島県を中心に最大で東京ドーム23杯分にあたる2900万立方メートルと推計している。中間貯蔵施設などに運び込む量を減らすため、放射性物質を効率的に除去する技術が求められている。




 だが、植物や粘土を多く含む土壌の場合は、洗浄など通常の除染技術ではその内部に入り込んだ放射性物質を除去するのは難しかった。




 前田建設の技術は、水を混ぜた汚染物質を加熱・加圧し、放射性セシウムが水に溶け出しやすい状態を作り出す。さらに圧力を解き放つ際の衝撃で植物の細胞などを砕き、中の放射性セシウムを分離する。水中に溶け出したセシウムは、放射性物質を吸着するフェロシアン化鉄で回収する。




 同社は再生可能エネルギーなどの技術開発を手がけるCDMコンサルティング(東京・中央、早藤茂人社長)などと、実用化段階と同じ規模のプラントを試作。非放射性セシウムを使った実験では1回の処理で約70%、2~3回で95%以上を除去できた。セシウムを含む土壌の量は8割以上減らせたという。




 新プラントの建設費は1日5トンの汚染土壌を処理できる規模で15億円程度とみられる。日本原子力研究開発機構(JAEA)は新技術について除染効果などを検証し、このほど「実際の汚染物質による追加実験が必要だが、有効な技術である」との評価を示した。




 東芝も金属製品の洗浄などに使う特殊な溶液で汚染土壌に含まれる放射性セシウムを溶かし出す技術を開発している。




 除染関連では東洋紡が汚染された土壌や草木などを詰める容器や、作業着に使う放射線遮蔽シートを開発した。従来は鉛やタングステンなどのレアメタルが使われるが樹脂で代替したのが特徴。シートを重ねて厚さ6センチメートルにすればガンマ線であれば50%を遮蔽できる。




 除染が本格化すれば運搬容器や作業着が大量に必要になる。樹脂シートなら安価で量産が可能だ。シートだけでは遮蔽効果は劣るが、複数の対策を組み合わせた多重防御の一つとして需要を見込む。