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福島第1原発1号機で炉心溶融の可能性=東電(WSJ)

2011-05-13 12:33:46

The water-level indicator of Fukushima Daiichi's worst-damaged reactor, Unit 1.
【東京】東京電力は12日、福島第1原発1号機の燃料炉心が大量に溶け、炉心容器が損傷したとみられると発表した。原子炉の損傷がここまで深刻な状態にあることを同電力が認めたのは初めて。

東電の松本純一原子力・立地本部長は会見で、1号機炉心の燃料棒が半分以上溶け、炉心を覆う圧力、格納両容器とも損傷したとみられ、放射性物質の放出が続いていると述べた。これは事実上、この原発危機の収束を阻む新たな障害が出てきたことを認めたものだ。

 ただ松本本部長は、炉心はまだこれらの容器内に収まっており、容器の温度は安定しているため、大量の放射性物質が外部に放出される容器大破のような最も深刻な事態にはいたっていないとみられると、語った。

 同電力の調査では、燃料の9割は内側の圧力容器に留まっており、外側の格納容器にひびや明らかな亀裂はないとしている。このため同本部長は放射性物質の大量放出のリスクは極めて低いとしている。とはいえ同電力の技術陣は、両容器を繋ぐパイプやケーブルは破損している可能性は高く高濃度の放射能汚染水が排出され続けるとみている。

 福島第1原発を巡り東京電力が炉心溶融を認めたのは初めて。これまでは燃料棒がなんらかの「損傷」を被っているとしていたものの特定はしていなかった。

 今回の事態を受け、同電力が今月6日から進めてきた、格納容器を水で満たすことにより原子炉の安定を図る「冠水」作業の工程見直しが迫られることになる。

記者: Mitsuru Obe and Phred Dvorak and Rebecca Smith  

The water-level indicator of Fukushima Daiichi's worst-damaged reactor, Unit 1.