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IHI、系統連系機能搭載した小型バイナリー発電装置を開発(各紙)

2012-09-20 17:58:23

プロトタイプの外観(左)とタービン発電機(右)
プロトタイプの外観(左)とタービン発電機(右)


各紙の報道によると、IHIは、商用電源に接続可能な系統連系機能を搭載した小型バイナリー発電装置「ヒートリカバリー“HRシリーズ”」を開発した。送電端の最大出力は20kW。工場などから排出されるセ氏70~90度程度の温水を利用して発電する。

バイナリー発電装置は、100度未満の工場排水や地熱などの熱源を用いて低沸点の作動媒体を気化させ、それによってタービン発電機を回転させるシステム。気化した媒体は凝集器で冷却して液体に戻し、循環ポンプで再び蒸発器に送り込んで循環させる。



 新開発のバイナリー発電装置は、大きさが幅約2×奥行き約1.4×高さ約1.6mと小型で(プロトタイプ機の場合)、最大出力が20kWと小出力なのが特徴。発電に必要な温水量が少ないため、これまでは熱エネルギーの回収が難しいとされてきた100度未満の温水を分散して排出するような工場でも、温水を集約せずにそのまま発電に利用できる。逆に、まとまった量の温水を使える場合には、同装置を複数台設置した上で温水を分散させて発電することも可能。メンテナンス時には1台ずつ停止すればよいため、発電を止めずに済む。





 タービン発電機には、同社の自動車用・舶用ターボチャージャーや産業用コンプレッサー事業で培ったターボ機械技術および増速機を使わずに直接動力を伝達するダイレクトドライブ技術を反映させて発電能力を高めたという。加えて、系統連系機能を標準装備したことで高品質の電力を供給可能とした。これにより、発電した電力の用途が広がる他、将来、買い取り制度が確立すれば、余剰電力の売電にも容易に対応できるとしている。作動媒体にオゾン破壊係数0のフッ素系媒体を用いた。今後は2013年度の発売を目指して製品化を図るとともに、ラインアップを拡充していく。