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原発、来春再稼働に含み 規制委員長「安全満たせば」 伊方など有力候補 (各紙)

2012-09-27 09:55:49

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各紙の報道によると、早ければ来春にも原子力発電所の再稼働が決まる可能性が出てきた。原子力規制委員会の田中俊一委員長は26日の記者会見で、新しい安全基準の骨格を今年度末までにまとめる考えを示したうえで、その時点で基準を満たす原発の「再稼働を考えたい」と述べた。政府のストレステスト(耐性調査)ですでに「妥当」と評価された四国電力伊方3号機などが有力候補だ。

田中氏は就任時に安全基準の骨格をまとめる時期は明言していたが、今回初めて再稼働の時期に言及した。田中氏は「原子炉を長く止めればトラブルが起きやすいのは承知している」と指摘。耐震性を高める補修工事などをすでに終えた原発については「早く安全性を判断できる」とも述べた。


 再稼働の最有力候補となるのは伊方3号機だ。旧経済産業省原子力安全・保安院の耐性調査で唯一、「妥当」との判断が示されており、ほかの原発より安全性を確保しているとみられる。北海道電力泊1、2号機、九州電力川内1、2号機などは「大筋で妥当」との評価で、有力候補に挙がっている。田中氏は記者会見で伊方3号機が来春にも再稼働する候補になるかを問われ、「想像に任せる」と述べるにとどめた。

規制委が再稼働を判断する前提条件は大きく2つある。1つは原発事故が起きた際の対策指針。規制委は10月に今の指針を改定し、住民の避難区域の拡大などを盛り込む。原発周辺の自治体は規制委が出した指針をもとに、来年3月までに独自の地域防災計画を作る。


 2つ目が大飯原発の再稼働に使った暫定基準に代わる新しい安全基準だ。自治体の防災計画、新しい安全基準の骨格はともに来年3月ごろにまとまる。田中氏が来春の再稼働の可能性に言及したのは、来年3月に2つの条件がそろうためだ。




 再稼働の時期が最短でも来春以降になる可能性が高まったことで、冬に向けて暖房需要が高まる北海道では厳しい節電を求められる。北海道電力は泊原発の全停止が続き、火力発電所の故障を考慮すると、今冬の節電要請幅は夏の7%の約2倍に上ると試算する。北海道経済連合会など道内の経済4団体は近く、冬の電力供給の確保と、泊原発の早期の再稼働を求める緊急要望書を政府に提出する。




 田中氏は「電力需給まで判断すると、規制委が何をやっているか分からなくなる」と強調。安全性に特化して判断する方針を改めて示した。