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「次の福島」を生み出さないための金融機関の役割(Greenpeace International)

2011-05-16 13:37:04

「次の福島」を生みださないために、GreenpeaceはインドでのJaitapur原発計画に資金拠出を予定するHSBCとBNPparibaへ 警告キャンペーンを始めた(Greenpeace International) May 12th 2011: 猛烈な地震と津波が日本を襲ってから2ヶ月経った。愛するものを失った人々、また先を見通せず不安に苛まれている人々、そして福島の原子力発電所からの放射能漏れとそれに伴う汚染によって自宅に戻ることの出来ない人々のことを思わざるを得ない。

福島で起きた原子力発電所事故は、世界中に存在する似たような原子力発電所周辺地区の人々への重要な警告となると共に、原子力の本来的リスクを改めて思い起こさせるうえで十分な出来事だった。原子力技術は非常に複雑で危険を伴うことから、常に自然災害と、技術的欠陥、人的ミスの影響を度外視することはできないのである。

現に、東電福島事故は地震と津波の二重の打撃によって、国際原子力事象評価尺度(INES)の基準で最も高いレベル7となった。しかし、決して福島が、これまでが最悪のケースであるとは限らない。なぜなら、環境中に漏れ出している放射線よりも多くの放射線が、破損した原子炉内に今でも残っており、原子炉が管理状態にあるという保証も未だ得られていないからだ。東電福島周辺住民の将来は、危険と不確実性とリスクが色濃く残っている。

しかし、そのような状況にもかかわらず、明確なことがある。それは、HSBCとBNPパリバの二大金融機関が、同じ過ちを繰り返そうとしていることである。福島のような地震地帯でかつ、津波の高いリスクのある海岸地帯に、潜在的リスクのある原発を建設すべきではないのである。少なくとも、福島の経験を踏まえればそう考えるべきだろう。それなのに、両金融機関は、それをやろうとしている。だれがそのリスクを取るというのか?

 彼らはインドで地震が多発するマハラシュトラ州(Maharastra)の沿岸に開発中であるジャイタプル原子力発電所(Jaitapur)に対して資金提供しようとしている。もしこの計画が実現した場合、世界で最も大きな原子力施設となる。現在、世界中のどこにおいても、原発の建設と、周辺住民の生命に関わる環境の悪化は不可分となっている。そのため、ジャイタプル原発近辺に住む住民は、建設計画に対してこれまで抗議を行ってきた。

しかし、そのようなこれまでの事実や、今回の福島事故の影響と意味が明らかになっているにも関わらず、インド政府は原発建設計画の継続を決定した。このようなリスクをわざわざ選択する必要はないはずだ。規制当局は計画を承認すべきではないし、計画に金融面からの支援を予定している金融機関は、支援すべきではない。原発の事故だけでなく、原発での使用済廃棄物を環境に影響なく隔離できるかという問題は解決されていない。Jaitapurもその例外ではない。同計画では廃棄物処理計画が全くなく、そのための資金も確保されていない。

本日、私はBNPパリバとHSBCの経営陣に対して、安定稼働が疑問視される原発への彼らの投資に対して警告する手紙をだした。世界中の人々が私と同様の行動をすることを強く勧めたい。我々が金融機関に求めるのは「次のの福島」となるような原発計画に資金を回すことではなく、クリーンかつ安全な再生可能エネルギーに投資することである。資金が原発に回らなければ、新規原発は作れないし、危険も作りだされないのだから。

英語版も参照:http://financegreenwatch.org/?p=1031

Kumi Naidoo