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カナダでも 宙に浮く中国企業の石油大手買収、批判噴出でハーパー政権苦悩(各紙) 

2012-10-11 07:46:57

7月23日、中国海洋石油(CNOOC)グループは、カナダのネクセンを約151億ドルで買収合意したと発表した。写真は北京のCNOOC本社前で2008年2月撮影(2012年 ロイター/Claro Cortes IV)
 各紙の報道によると、中国の国有企業がカナダで交渉している石油大手買収計画が座礁に乗り上げる懸念が出ている。現ハーバー政権は、同国の資源開発を海外企業にも売却することに積極的だが、議会や該当資源立地地域の自治体などから批判が続出している。

 

7月23日、中国海洋石油(CNOOC)グループは、カナダのネクセンを約151億ドルで買収合意したと発表した。写真は北京のCNOOC本社前で2008年2月撮影(2012年 ロイター/Claro Cortes IV)


焦点となっているのは、中国海洋石油が7月に発表したカナダ企業「ネクセン」の買収計画。買収総額は151億ドル(約1兆1900億円)で、中国企業による過去最大の海外M&A(企業の買収・合併)として、市場で話題を集めた。

 当初、カナダのハーパー政権は、これまで米国に依存してきたカナダ産石油の売却先を拡大するため、中国を含めた新興国にも接触を強め、ネクセンの身売り計画にも前向きに認める方向とされていた。しかし、野党新民主党は「中国がカナダの天然資源を買い占めていいのか」と政府の姿勢を批判し、ハーパー首相に買収計画への拒否権発動を要請した。

ハーパー首相は、「この案件は難しい政策上の問題を提起した」とした上で、「われわれは一般に外国投資を歓迎するが、過去には外資を拒否したこともある。投資の是非については、カナダにとって純粋に利益になるかどうかで決める」と述べた。このため、ネクセンの身売りが政治的に止まる可能性が出てきた。渦中のネクセンの最高経営責任者(CEO)レインハート氏はこうした政治の動きを受けて、「国益の観点から議論を尽くすことは健全だ」と慎重な姿勢をとっている。

 カナダでも、中国製品があふれており、米国同様、雇用の流出批判が出ている。野党の中には、こうした衣料品やハイテク分野でで中国に雇用が奪われている中で、今回の買収を政府が承認すれば、「国家への反逆だ」との声も出ている。首相の属する保守党内にも同調意見がある。ネクセンが多くの権益を保有し、株式上場する米国でも、民主党の有力議員が買収計画の阻止を政府に働きかけている。

 一方、中国側は、「カナダ当局が公平で客観的な判断を下すよう望む」(陳徳銘商務相)と事態の行方を見据える姿勢。そうした中で、カナダのオリバー天然資源相は8日、審査を10月半ばに終えるとしながらも、場合によっては先送りする可能性も示唆した。