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「福島原発、津波被害を過小評価」 IAEA報告書案(各紙)

2011-06-01 23:53:18

IAEAのウェイトマン団長
各紙の報道によると、国際原子力機関((IAEA)は1日、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原子力発電所事故の調査報告書案を日本政府へ提出した。原発が大きな損傷を受けたことなどから「津波の被害を過小評価していた」と断じた。自然災害への対策強化を求め「原発の設計者や事業者は、起こりえるリスクを最新の基準に基づいて評価する重要性」を訴えた。

報告書案は、福島第1が相次いで爆発した事態を深刻に受け止めた。水素爆発の経緯を分析し、今後の再発を防ぐ取り組みを求めた。さらに爆発に伴って放射性物質が広がったことから、健康被害を追跡調査する必要性を盛り込んだ。


 一方で事故発生後の早い段階で、もっと素早く対応できる体制を整えるよう注文を付けた。IAEAは、日本政府の特に事故当初の対応が不十分とみているようだ。




 また原発の規制当局は、透明性や独立性の確保が不可欠と強調している。日本では原子力安全・保安院が相当するが、今は原発を推進する経済産業省の傘下にあることを問題視しているとみられる。




 このほか、世界が福島第1原発の事故を教訓として学べるよう、情報公開を要請した。




 IAEAの調査団は5月23日に来日し、東海第2原発(茨城県)や福島第1・第2原発を視察。福島第1原発の吉田昌郎所長などから事故状況の説明を受けた。報告書は20~24日にウィーンで開催される閣僚級会合に提出する。




 首相官邸を訪れたIAEAのウェイトマン団長は「求める情報を開示してもらい、迅速に解明できた。(自然災害は防げなくても事故を防ぐための)世界で共有できる教訓を得た。原発の世界共通の安全規制が必要だ」と語った。報告書を受け取った細野豪志首相補佐官は記者団に「建設的な提案もあった。国際社会への説明は極めて重要で、政府や東電を含めたすべての情報を提供した」と強調した。





IAEAのウェイトマン団長