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国民の国民による国民のための原子力・エネルギー政策へ(ISEP)

2011-06-13 18:35:47

1. 【国民主権】エネルギー政策の決定権が国民にあることを再確認し、国民参加・国民の意見反映の場を十分に設けること
福島第一原発事故は、日本の戦後の原子力・エネルギー政策の決定のあり方がもたらした大厄災であることを踏まえれば、これを従前通りのように官僚主導で拙速に見直してはならない。ドイツでは、脱原発を決めるにあたって、11 時間もの長丁場で、TV 等を用いた完全公開の倫理委員会を開催し、国民の意見の反映を試みた。「熟議民主主義」の基本に立ち返り、国民の中での熟議も促しながら、そうした多様な意見を様々な手段で反映する議論のプロセスが必要である。
2. 【完全公開】今後のエネルギー政策を国民とともに議論するため、「会議」及び「幹事会」は、事業仕分けと同様に市民のネット中継や傍聴も自由にできる、完全公開とすること今後のエネルギー政策は、国民の間で広く議論していく必要がある。逆に、密室での議論を決して認めることはできない。エネルギー・環境会議とその幹事会を完全公開することは、国民的な議論の大前提となる。
3. 【総理の責任】エネルギー政策の議論は、国の根幹にかかわることであり、内閣総理大臣の責任を明確にするため、総理が「会議」の議長とすることエネルギー政策は国の基本であり、国民的な関心が非常に高いことから、閣僚やさらには事務局(官僚)への「丸投げ」とならないよう、総理が責任をもつべき。
4. 【国内外の政策知の活用】革新的エネルギー・環境戦略を提唱する複数の外部有識者(当然のことながら、これまでの原子力・エネルギー政策の責を問われるべき人を除く)を「会議」の正規構成員に加えること他の業務で多忙の大臣、副大臣だけの議論では、「官僚(事務局)主導」という批判がなされる可能性もある。民間有識者を加えれば、「官僚主導」への対抗策となる。

5. 【政策体制見直し】既存の特定省庁に閉じて、国民不在で行われてきた原子力・エネルギー政策の体制のあり方も見直しの対象とし、経済産業省と資源エネルギー庁の分離も検討すること「会議」の役割は「戦略策定」であり、具体政策は「総合資源エネルギー調査会」「原子力委員会」等に委ねる仕組みとなっているが、現在のエネルギー政策体制そのものを見直さなければならず、真っ先に見直し対象となるべき「総合資源エネルギー調査会」「原子力委員会」に今後のエネルギー政策を議論する資格はない。
6. 【原子力政策の白紙見直し】原子力については、従来の推進政策と福島第一原発事故の反省を踏まえ、完全白紙から検討すること国民的関心が非常に高く、世論調査では原発新増設の反対が70%を超えることから、「推進ありき」の議論は、国民の不信感を増大させるだけである。

7. 【新三本柱:自然エネルギー】自然エネルギーについては、主要8カ国首脳会議で示した以上の飛躍的な導入拡大を目指し、事業性を確保する固定価格買取制度など、具体的な政策も示すこと総理がサミットで示した自然エネルギーの導入目標は「上限」ではなく、「最低ライン」と捉えるべきである。自然エネルギーのボトルネックは「技術開発」ではなく「技術普及」とそのための「賢い政策」の不在にある。
8. 【新三本柱:省エネから需要側管理へ】省エネルギーについては、電力依存度の低下や適切なエネルギー利用への転換を含めた「需要側管理」という発想に改め、意欲的な目標と実効的な政策を検討することともすれば「熱い・暗い・我慢する・経済に悪影響」として捉えられる、節約型の省エネルギーではなく、むしろ経済成長と社会の質を高める「需要側管理」を基本とする政策に、基本思想から改める。なお、近年、熱利用についてガスから電力への転換(オール電化普及)が行われており、それを逆転させる視点での議論の方針も示す必要がある。
9. 【新三本柱:コジェネ】従前のエネルギー市場は、電力vsガス戦争のために、総合熱効率の高いコジェネレーションが封じ込められてきた。今後、天然ガスを中心に、バイオマス(バイオガス)なども含めたコジェネレーションの積極活用を新三本柱とすること。とくに、天然ガスネットワークの拡充とコジェネからの電力の買い上げが普及のポイントとなる。
10. 【化石燃料の2つのリスク】化石燃料については、国際価格の高騰傾向及び地球温暖化対策の目標を十分に踏まえて検討すること化石燃料の輸入が日本経済へ大きなインパクトを与えることに加え、地球温暖化対策も日本にとってはグローバル社会および将来世代への責任であり、安易な化石燃料拡大と
ならないよう、歯止めを示して検討させる必要がある。

11. 【電力市場改革】電力システムについては、自然エネルギーの飛躍的拡大を前提とし、発送電分離等、電力事業再編も含めて検討すること自然エネルギーと別に検討するのではなく、自然エネルギーの大量導入を前提とした電力システムを構築する必要がある。電力事業者の地域独占体制は、検討の聖域にしないどころか、積極的に見直す。
12. 【エネルギー産業革命】エネルギー・環境産業については、雇用、地域経済の活性化の観点を重視しつつ、新しい産業革命を立ち上げるイノベーションのあり方を視野に入れて検討すること雇用や地域経済への影響について、プラスマイナスの影響を受ける他の既存産業のそれらとも比較し、全体で好影響となるように検討する必要がある