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原子力規制委員会が 中国の原発事故想定した対応策検討に取り組み 大気汚染同様、放射能汚染の飛来懸念(各紙)

2013-02-26 08:20:18

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China2dabc_368_74ddd9e1c396a1205a883d50bcfaf178各紙の報道によると、原子力規制委員会が、中国の原発で過酷事故(シビアアクシデント)が起こった場合の、日本への影響にどう対応するかなどの検討作業に入っていることがわかった。日本へ飛来している大気汚染物質と同様の形で、事故原発から放射能が飛来するリスクがあるため。規制委は国内原発だけでなく、周辺国の事故対策にも備える姿勢をとることになる。

中国は2013年1月末時点で、全国6か所で合計原発16基が稼働している。さらに、29基が建設中という。2020年までにさらに約50基増やす計画となっている。また多くが沿岸部に建設されている。規制委は中国の原発を事故対応の検討対象としていくことについて、「次々と沿岸部に原発が建設されており、事故が起きた場合、大気汚染と同様に、偏西風に乗って、日本への甚大な影響が及ぶ懸念がある」としている。

今後、中国からの放射性物質が、偏西風に乗って、どのような経路で日本にたどりつくかを示す拡散予測シミュレーションマップを作成することなどを検討していく。これまで文部科学省が所管してきた放射性物質の測定業務が4月から規制委に移管される。これを受けて、内外のモニタリング体制を強化する方針だ。今月12日の北朝鮮による核実験では、文科省が放射性物質が大気中に漏れた場合の拡散予測を発表している。


日中科学技術交流協会によると、中国の原発1基当たりのトラブル件数は05年2・6件(日本0・3件)、07年2・1件(同0・4件)で、日本の5倍以上の割合となっているという。また、原発に不具合が生じた場合、日本は原子炉をいったん止めて安全を確認することが義務付けられているが、中国では稼働しながら故障か所を修理するなどの安全上の懸念を引き起こすやり方が常態化されている点も課題となっている。

しかし、仮にシュミレーションマップを作り、モニタリング体制を整備しても、実際に事故が起きて、放射能が流れてくると、汚染から免れる術はない。中国の原発運営の安全性向上のための日中原発防災技術協力や、原発から再生可能エネルギーに転換するエネルギーミックスを中国で促進させるような、一歩踏み込んだ協力体制を築かないと、事故対応の効果は上がらないといえる。