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原発賠償相談者殺到 8会場に3300人 県弁護士会初説明会 「どこに、どう請求」(福島民報)

2011-06-26 11:26:18

福島県弁護士会は25日、原発事故の損害賠償請求に関する初の説明会を県内8カ所で開いた。手続きでの証拠の必要性などを知ってもらう目的だったが、想定を超える計3300人が8つの会場に殺到した。「どこに、どう、何を請求すればいいのか」。長引く避難所生活の中、情報不足で国の紛争審査会が示した賠償対象の指針も、請求の窓口も分からない。頼るべき役所も遠い。原発事故に振り回される県民が、損害賠償という慣れない手続きの前で戸惑っている。

 説明会は福島(2カ所)、郡山、いわき、会津若松、白河、相馬、南相馬の8会場で開かれ、多い会場で700人以上、少ない所でも約220人が訪れた。どの会場も想定外の避難者であふれた。

 福島市のあづま総合体育館では午前10時半から開始予定だった。しかし、予定していた200人用の会場にはまるで入りきらず、急きょ11時からも説明会を開き、約400人に対応した。

 いわき市ラトブ内のいわき産業創造館では想定した定員の約7倍の700人以上が詰めかけた。会場に入りきれない来場者からは怒号まで飛び出す。資料も足りず、中には外部の駐車場が満杯で説明会が終わるまでに入場できなかった人もいた。

 各会場では基本的な疑問が相次いだという。いわき会場を訪れた富岡町からいわき市に避難している無職門馬勝歳さん(68)、征子さん(69)夫妻は「家や土地、家財道具など、家の中にあるすべて物を補償してもらうためにはどうすればいいのか聞きに来た」と切実な表情で訴えた。

 弁護士会はこの日の説明会で、避難者が損害賠償請求をする際に必要となる領収書などの証拠を残すことなど、より詳しい法的手続きについて説明しようとした。

 ところが、説明会後に寄せられた質問や相談は、請求に関する基本的範囲や「精神的損害」といった原子力損害賠償紛争審査会の一次指針・二次指針ですでに示されている賠償対象となっている項目についてが多かった。相談に応じた弁護士の一人は「原発事故に伴う賠償の対象範囲や方法が周知されていないことが明らかになった形だ」と住民の不満を代弁した。

 弁護士会は郡山市のビッグパレットふくしまで実施した説明会の様子を録画。他都道府県の弁護士会の協力を得て、映像を使い県外の避難者に向けた周知も計画している。さらに、7月第2週から県内8会場で面接相談を実施する方針。

 4月から家族5人で会津若松市に避難している大熊町の会社員根本薫さん(35)は「賠償まではまだまだ先が長いと感じた。領収書をきちんと保管したり(支出の)メモを取ったりするようアドバイスを受けて参考にはなったが…」とため息をついていた。

元記事: http://www.minpo.jp/view.php?pageId=4107&blockId=9859861&newsMode=article