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地震保険:追加契約6倍に 大手3社で4万件超(毎日)

2011-07-03 14:14:50

火災保険に加入している保険契約者が、契約途中で地震保険に追加加入する契約(中途付帯)が、東日本大震災以降、急増していることが明らかになった。東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパンの大手損保3社の3~5月の合計は約4万1000件で、震災前の昨年12月~今年2月の約6900件から5.9倍に急拡大。追加保険料を払い、次の大震災に急いで備えようという契約者の姿が浮き彫りになった。

 中途付帯の件数は公表されないが、大手損保各社に取材して判明した。地震保険は、火災保険とセットで加入する場合に限り契約できる保険。火災保険では地震や津波で住宅が壊れても保険金は支払われないが、追加保険料を払い、地震保険に加入すれば震災を原因とした被害に一定の保険金が支払われる。

 損保業界によると、09年度に火災保険に新規加入し、同時に地震保険にも加入した人の割合は46.5%と半分に満たない水準。03年度以降、毎年度1~3%程度、割合が高まってきていたが、多くは「火災保険が満期を迎えた契約更新時に、損保会社に勧められて地震保険の加入を検討する」(損保大手)というものだった。

 しかし、大震災後は、火災保険の契約者が地震保険を付け加える中途付帯が急増。東京都内で地震の際に保険金が1000万円まで支払われる契約の場合、木造住宅の年間地震保険料は3万1300円、鉄骨住宅は1万6900円かかるが、大震災後、「追加コストを払ってでも早急に加入したい」との声が広がっているという。

 中途付帯に加え、「新規」や「火災保険の更新」「満期を迎えた地震保険の更新」を含めた3~5月の地震保険契約総件数は、大手損保5社で140万6772件と、前年同期に比べ14.5%増加。全世帯に対する地震保険加入者の割合は09年度末時点で23.0%にとどまっていたが、今年度は大幅に高まりそうだ。

 日本損害保険協会によると、東日本大震災による地震保険支払額はすでに1兆円を超え、阪神大震災時の最終支払額783億円の13倍以上となっている。【大久保渉】

http://mainichi.jp/select/biz/news/20110703k0000e020027000c.html

地震保険:損害区分を見直しへ 現行3段階を細分化


 

日本損害保険協会の会長に30日に就任した隅修三・東京海上日動火災保険社長(63)は、毎日新聞のインタビューに応じ、地震保険について、現在3区分に分かれている損害区分の細分化など、見直しを進める考えを明らかにした。 

 住宅と家財を対象にした地震保険の損害区分は、被害程度が大きい順に、契約金額を100%支払う「全損」▽50%支払う「半損」▽5%支払う「一部損」--の3区分。東日本大震災の被災者からは、半損と一部損の間の支払額の差が大き過ぎるとの指摘が出ている。隅会長は「現場からの意見を真剣に受け止めたい」と述べ、損害区分の細分化を検討する考えを表明した。ただ、区分を増やせば損害認定にかかる時間が長くなる恐れもあり、「支払いのスピード感と契約者の納得感を総合的に考え判断したい」と説明した。

 また、加入率が1%未満の自動車保険の地震特約についても、隅会長は「津波で多くの自動車が流された今回の震災を契機に、世の中のニーズが変わった」と述べ、制度の見直しを検討していく必要があるとの認識を示した。【大久保渉】

http://mainichi.jp/select/biz/news/20110701k0000m020154000c.html