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東電株、10年に議員4人が取得 原発事故後に売却も(各紙)

2011-07-04 18:36:37

各紙の報道によると、東京電力福島第1原子力発電所の事故後、国会で損害賠償や電力事業の在り方が議論される中、4日に公開された2010年分の国会議員の資産等補充報告書で、衆参の議員4人が東電株計8千株を取得していたことが分かった。事故を境に株価は約6分の1以下に下落。株保有を続ける議員が「売却は有権者の臆測を呼ぶ」と話す一方、株価下落をみて売却した議員は「株取引は個人の自由」と主張する。


 昨年の新たな取得が明らかになったのは、加賀谷健参院議員(民主党)が5千株、今村雅弘衆院議員(自民党)が2千株、長尾敬衆院議員(民主)が800株、大西孝典衆院議員(民主)が200株。




 「日本を代表する基幹産業で、貯蓄と同じ感覚で株を買ってきた」という大西議員は現在、東電株600株、関西電力株1300株を保有する。株価下落を受け「政治家でなければ売却していたかもしれない」と明かすが、「国会議員という立場上、100%減資を受け入れてでも被災者への賠償に協力すべきで、持ち続ける責任がある」と保有し続ける理由を説明する。




 相続で取得した長尾議員も「親が買ったものだが、大損」と話す。ただ「特別な情報を知らなくても、有権者は『政治家は何か知っているのではないか』と思うはず。株の売買はすべきでない」との立場だ。




 一方、東電OBの加賀谷議員は福島第1原発の事故後、昨年取得した全株を「紙くずになってしまう前に」(議員事務所)売却した。「議員の仕事と個人の資産形成は全く別もの」(同)と売却は正当とする。今村議員は事故後の売買の有無などを尋ねた取材に対し、回答がなかった。




 国会議員の株保有を巡り、上脇博之・神戸学院大法科大学院教授(憲法)は「法律的に保有を禁止することは難しく、最終的には議員個人の判断」とした上で、「国会での質問や採決など一定の権限を持つ以上、特定企業への利益誘導の懸念は消えず、株を持つべきではない」と指摘している。