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東日本大震災:4カ月休まず営業…陸前高田のたばこ店 (毎日) 禁煙派だが、このタバコ屋さんはいいか

2011-07-11 23:20:42

休まず店を開け、お客を迎える佐々木さん=岩手県陸前高田市で、蒲原明佳撮影
11日で発生から4カ月を迎えた東日本大震災。津波で多くの住宅や店舗が壊滅した岩手県陸前高田市で、この4カ月間休まず営業を続けているたばこ店がある。赤い屋根が目印の「十八(じゅうはち)ストア」。店主の佐々木定夫さん(77)は今も多忙な日々を送るが「いつかみたいに穏やかな店になってほしいね」と街の復興を願っている。

休まず店を開け、お客を迎える佐々木さん=岩手県陸前高田市で、蒲原明佳撮影




 十八ストアは80年、市中心部から続く坂の上の鳴石団地に自宅兼店舗として開店した。屋号に「みなさまの十八番(おはこ)に」という思いを込めた。

 大地震の発生時、佐々木さんは店にいた。1時間もたたないうちに津波に追われ、次々と人が坂を上ってきた。雪が舞う中、津波にぬれて身震いする人たち。「(家族の)手を離しちまった」と泣く人もいた。

 佐々木さんは自宅にあるだけの服を出して着せ、売り物の食品を分けた。着の身着のまま、お金を持たない人にもたばこを渡した。在庫は2日間でなくなった。

 鳴石団地には仮設市役所や災害対策本部ができ、店から近い市立第一中学校は市内最大の避難所になった。仕事の合間に一服を求める人々。親戚や友人の安否を尋ねに来る人。ひいきにしてくれた人に関する悲しい知らせにも接した。

 店は引き戸を開けると、わずか3坪ほどしかない。高田松原の海水浴場に40年来構えていた別店舗は津波で流されたが、無事だった本店は休まず営業を続けている。

 「ごめんねえ、売り切れなんだ。明日、入るから」。佐々木さんは今も忙しい。

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110711k0000e040014000c.html