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セシウム肉牛 原発から70キロ、監視対象外 福島県浅川町(河北新報)現在の区域指定が 全く意味がないことを露呈

2011-07-15 12:58:23

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 高濃度の放射性セシウムを含むわらを餌として与えた肉用牛を出荷した畜産農家がある福島県浅川町は、福島第1原発から約70キロ離れており、県内で牛の出荷時に実施されている放射線検査や餌の管理状況などのチェックの対象外だった。

 同様の牛17頭を出荷していた南相馬市の農家は、第1原発の20~30キロ圏の緊急時避難準備区域にあったが、今回の浅川町のケースは「盲点」を突かれた形。消費者の不安を解消し、県産牛の信頼を回復するためにも、県は県内全体を対象に徹底した調査を急ぐ必要がある。


 
 農林水産省は4月、緊急時避難準備区域と計画的避難区域から肉牛を出荷、搬出する際には、全頭を対象に体表が放射性物質で汚染されていないか、餌は屋内で適正に管理されていたかなどをチェックするよう県に通達していた。しかし浅川町と、この農家にわらを販売した業者がある白河市はいずれも両地域外。県は南相馬市のケースの発覚後、今月11日から県内すべての肉用牛農家を対象に餌の管理状況や飼育状況を確認する緊急の立ち入り調査に着手したばかりだった。
 県の調査では、浅川町の農家が飼育している牛の尿から放射性セシウムが検出された。既に出荷された牛も体内にセシウムが取り込まれている可能性が高い。どこに流通したのか、牛肉に放射性物質は含まれていないのかを早急に調査することも求められる。

◎風評拡大の恐れも
 立命館大の安斎育郎名誉教授(放射線防護学)の話 当初から予想できた結果で、牛の表面しか検査しなかったことには問題がある。口にしても健康に影響するレベルではなく、過度に恐れる必要はないが、他の食品の安全性も疑われ、安全が確認された食品にまで風評被害が拡大することが懸念される。屋内で飼われることが多い鶏や豚についても、飼料の汚染状況をチェックし直し、安全性を確認する必要がある。

http://www.kahoku.co.jp/news/2011/07/20110715t73018.htm