HOME13 原発 |東電と市民団体の直接交渉で。東電発表の「汚染水対策チーム160人増強」は専任でなく、兼務と明かす。つまり「片手間」 (Greeenpeace) |

東電と市民団体の直接交渉で。東電発表の「汚染水対策チーム160人増強」は専任でなく、兼務と明かす。つまり「片手間」 (Greeenpeace)

2013-08-28 15:30:48

署名を東電側に手渡す
署名を東電側に手渡す
署名を東電側に手渡す


8月27日、東京電力の本社近くのビルで13時30分から始まった、東京電力と市民との直接交渉。汚染水問題を3時間以上、全体でも時間を大幅に延長して行われました。

会の冒頭で、オンライン署名「東京電力さん、私たちの海をこれ以上放射能で汚さないで」の8月18日までの一次集約分8234筆を、東京電力の原子力センター曾田さんに提出しました。参加いただいた皆様、どうもありがとうございました。
署名は、引き続き実施中です ⇒ こちらから

今回の会の主催は、「東京電力と共に脱原発をめざす会(東電共の会)」。過去25年間にわたって、脱原発を目指して東京電力と交渉続けている市民グループです。

事前に市民から提出された質問に対して、東京電力の原子力センターや技術者の方が回答しました。

汚染水の流出の懸念は、事故当時から指摘されていたことなのに、なぜいままで対処できなかったのかなど、これまで東京電力が行ってきた対処方法についての質問が相次ぎました。

以下、市民と東京電力との主なやり取りの抜粋(順不同)です。
市民「参議院選挙終了後の7月22日になるまで、汚染水が海に流れ出していることを発表しなかったのはなぜか?」

東電「(汚染水漏れについて)会社としての評価がまとまったのが土日(20、21日)だった」

市民「汚染水が増えていくことは予想できたはず。福島第一原発はもともと川底だった場所。軟弱な地盤。事故前から毎日850トンもの地下水を汲み出してきた。東電が出した論文に書いてある。これまで2年半何をしていたのか?

東電「様々な検討したり、地下水バイパスの準備をしてきた。海側遮水壁は2014年9月に完成予定。日本で初のチャレンジングな凍土壁も年内から準備開始、2015年に完成予定」

市民「それまで汚染水は垂れ流しなのか」

東電「それまでは井戸で汲み上げるなどする」

電「汚染水の量は水位と建屋の図面によって割り出している。建屋内の総量はだいたい把握できているが、建屋の隙間などから、どれくらいの汚染水が出たり、逆に地下水などが入ってきているのかはわからない

東電「中長期ロードマップに計画している汚染水対策予算は400億円」

市民「その中に浄化装置アルプスなどの費用も入っているのか。少なすぎる額だ。詳細は?」

東電「今答えられるのはこれのみ。詳細確認する」

東京電力の広瀬社長は26日、社長を本部長とする「汚染水・タンク対策本部」を設置したことを明らかにしました。
広瀬社長は「汚染水問題を緊急、最大の経営課題と位置付け、現場に必要な要員と資材を投入し、再発防止に万全を期す」と話しています。(8月27日付 河北新報

これについて、本日の会での市民の質問に対して東京電力は、

東電「これまで汚染水対策は水処理設備部70名中心にやっていた。昨日発表の新体制では、新規汚染水チーム160人程度。専任ではなく、他の仕事と兼務になる。詳細は決まっていない

と回答し、市民側からは汚染水対策を兼務のチームでできると思っているのかと驚きの声があがりました。

また、8月8日の政府と市民による汚染水についての公開質疑(詳細はこちら)の場で問題になった、2012年12月から今年の5月まで地下水のモニタリングがなされていない期間が約5か月間あることについて、市民から東電に理由を問いました

東電「12月の測定は設計のために行った。だから1回のみ。5月に始めたのは、海域の(放射線の)濃度が下がらないのではじめた。12月に計測した時、濃度の原因は事故時の降下物(フォールアウト)が原因だと思った」

今回の会場には、多くの市民が詰めかけ、海外メディアの姿もありました。こうした大きな問題を前に、ひとりの市民ができることは限られているかもしれません。確かに、専門的・技術的に貢献できる人は限られているでしょう。

でも、問題が解決に向かうためには、政治的、専門的に貢献できる立場にある人たちが解決を目指して進み続けてくれるよう、どれほど多くの人が解決を望んでいるかを渦中の人が感じられるようにすることが大切。
そのために市民ができることは、「五感判断」で声を広げることです。
(「五感判断」は、グリーンピース・ジャパン事務局長が書くこちらのブログをどうぞ)

汚染水によるこれ以上の海洋環境の破壊と社会的・経済的な被害を防ぐために、グリーンピースは以下を東京電力に要請しました。

  • 【汚染水の海洋投棄について】
    タンク等に貯蔵されている汚染水については、海洋投棄および放出を行なわないこと。また、現在続いている汚染水の流出を一刻も早く止め、再発防止を徹底すること


 

  • 【地下水・濾過水の海洋放出について】
    福島第一原発の建屋に到達前にくみあげた地下水、および新型浄化装置(アルプス)等によって濾過された水の海洋放出を実施する際には、東京電力は、放射性物質の含有等について、グリーンピースなどNGO・市民団体や専門家に随時検証させ結果を公開するなどして、放出する水が環境・生態系に無害であることを事前に立証すること。また、汚染水は希釈して海洋投棄・放出もしないこと


 

  • 【事故収束・汚染水対策に全力投入を】
    汚染水処理をはじめとする福島第一原発事故の収束に全力を集中するために、柏崎刈羽原発の再稼働準備は中止すること


 

  • 【情報の公開と透明性の確保の徹底を】
    事故収束・汚染水対策について、他電力会社、メーカーなど原発関連企業、海外の専門家などに広く協力を要請すると同時に、市民や国際社会に対して情報公開と透明性の確保を徹底すること


 

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/-827/blog/46315/