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雑草処理は「ヒツジ」にお任せ、ニッケの太陽光発電 整地せずに太陽光最大活用 16.8MWを実現 (スマート・ジャパン) ヒツジはいずれジンギスカンかな?

2013-10-12 16:52:19

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日本毛織(ニッケ)が兵庫県内に立ち上げたメガソーラーには他の発電所とは異なる特徴がある。除草のためにヒツジを放牧したことが1つ、もう1つは本来の土地の形を残したまま太陽電池モジュールを設置したことだ。[畑陽一郎,スマートジャパン]


羊毛紡績大手の日本毛織(ニッケ)は、ヒツジを利用したメガソーラーを立ち上げた。「(東京電力が山梨県の用地を使って運営している)米倉山太陽光発電所では敷地内の除草にヤギの力を借りていることを知り、当社の事業と関係が深いヒツジを使うことを決めた」(同社)。3頭のヒツジを六甲山牧場から譲り受け、土地に慣らした後、メガソーラーの敷地に放牧した(図)。

太陽光発電では太陽電池モジュールの一部に掛かる影を避けなければならない。例えば雑草による影だ。地表をコンクリートなどで覆う、防草シートを使う、除草剤を散布する、人手を使って草を刈るなどさまざまな対策がある中、同社はヒツジの力を借りることを選んだ。


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図 メガソーラーで働くヒツジ。出典:日本毛織


 同社が運営する「ニッケまちなか発電所明石土山」(兵庫県稲美町六分一)は、グループ企業が所有、運営していたニッケゴルフ倶楽部土山コースの跡地を利用したメガソーラーだ。

この発電所にはヒツジ以外に、もう1つ特徴がある。「敷地が明石市の市街化調整区域にかかっており、開発行為にあたるため整地ができなかった」(同社)。通常のメガソーラーは太陽の角度や日影の影響を計算して土地を最も有効に利用できるよう整地後、太陽電池モジュールを配置する。しかし、整地できなければ土地の起伏をそのまま利用する他に手がない。「設置時に高さを調整できる架台を製造する3社を選び、現地で試験した結果、コストや施工性を考慮してうち1社の製品を選択した」(同社)。

兵庫県内でも最大規模


今回の計画は規模の面でも目を引く。2012年5月時点の計画ではショートコースのゴルフ場18ホールのうち、12ホール分の土地(約15万m2)に約30億円を投じ、出力約9.8MW(年間約9537MWh)を得る予定だった。最新の計画では残り6ホールの敷地を第2期として追加する。合計で約45億円を投じ、約22万m2の敷地に出力約16.8MW(第2期工事分は約5.8MW)の発電所が完成する形に変わった(図)。


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図 ニッケまちなか発電所明石土山の第1期工事部分の遠景。出典:日本毛織



2012年にゴルフコースを閉鎖して工事に着手、2013年10月に第1期分が完成、2014年1月末には第2期分の工事も完了する予定だ。設計・調達・建設(EPC)を担当した事業者は非公開。

太陽電池モジュールを5万4852枚(第2期分は1万8068枚)設置する。「完成後の管理・運営(O&E)はグループ企業が担当する。ニッケ不動産がヒツジの飼育とクラブハウスの維持管理を担い、ニッケ機械製作所が電力関連を管理する」(同社)。

年間想定発電量の実数値は公開していない。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)を利用して全量を関西電力に売電する。売電単価は1kWh当たり42円(税込)。

日本毛織はこれまでも自社やグループ企業の建物の屋根に自家消費用の太陽光発電システムを導入してきた。事業所や工場、介護施設などである。ほとんどの事例では出力50kW未満だが、最大のものは500kWに達していた。今回の計画は過去最大の規模となった。今後は自社やグループ企業の所有地の有効活用の方策の1つとして太陽光発電を引き続き導入していくという。

 

http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1310/10/news027.html