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NEC、中国企業から米A123の蓄電システム事業部門を買収(WSJ)

2014-03-25 12:13:22

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A123images【東京】NECは24日、米グリーンエネルギー技術企業、A123システムズの一部門である蓄電システム事業を買収すると発表した。A123はオバマ政権から代替エネルギー推進の助成金を受けていたが、2012年に破産保護手続きを申請した後、中国企業傘下に入っていた。

NECが今回合意したのは、代替エネルギー発電所向けの蓄電システム提供事業の買収だ。A123の親会社である中国の自動車部品メーカー、万向集団から約1億ドル(約102億円)で同事業を買収する。万向は、破産手続き中だったA123を2億5700万ドルで買収しており、その中には自動車向けバッテリー事業も含まれていた。

万向集団は当時、A123のバッテリー事業に関心を持っていた同業の米ジョンソン・コントロールズJCI (ミルウォーキー)とNECによる共同応札に競り勝ってA123を買収した。中国企業によるこの買収案件は米共和党議員から批判を浴びた。米国の技術が中国の手に渡ることへの懸念があったほか、A123が米エネルギー省から代替エネルギー推進のための助成金2億4900万ドルを獲得していたことが理由だった。助成金の一部は破産を理由に支払われていない。

今回の蓄電システム事業買収は、NECの戦略のシフトを浮き彫りにしている。NECは、スマートフォンなど収益性の低い消費者向け電子機器事業から撤退し、産業向けの事業に軸足を移しつつある日本の電機大手の一角をなす。

買収される蓄電システム事業はA123エナジー・ソリューションズ。同事業の昨年の売り上げは3200万ドルにとどまったが、NECはマサチューセッツ州ウェストボロに本拠を置くこの事業に高い期待を寄せている。

NECのスマートエネルギービジネスユニットの庭屋英樹理事は、電力会社向け蓄電装置の世界売上高が2015年の約2000億円から、20年までに6000億円程度に増えるとの見方を示した。この分野の成長が期待されるのは、風力、太陽光やその他の代替エネルギーの発電所の出力にはかなりのばらつきがあり、在来型施設より大きな蓄電能力を必要とするためだ。

庭屋氏は、NECはこの分野で既に事業を展開しているが、20年までに全体の10%を上回るシェアを確保できることを望んでいると述べた。A123には曲折をたどった過去があるが、同社からの蓄電システム事業買収は、NECの蓄電事業にとって数少ない拡大の好機だという。A123エナジー・ソリューションズは北米、南米、欧州、それにアジアに顧客を持つ。

A123は、連邦政府からの助成金の大半を、電気自動車(EV)向けバッテリーを製造するミシガン州の2工場の建設に使用した。これらの工場は引き続き万向集団が保持する。

 

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303495304579460202348298562.html?mod=djem_Japandaily_t