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【福島再生特別法】早期成立が復興の起点(福島民報) この法律も超党派で実現しよう

2011-08-26 11:28:18

 福島県は、27日に初会合を開く福島復興再生協議会で、原発災害の克服を目指す「福島再生特別法」の制定を国に提案する。事故発生から間もなく半年を迎えるが、避難の長期化や汚染の深刻化などの課題が次々と浮上している。特別法は県土をよみがえらせる旗印の役割を担う。国会、政府、県が協力し、一日も早く成立させるべきだ。

 国、福島県、市町村の取り組みの大半は、主に震災前の法律・制度・予算の手直しや特例で進められている。被災した現場での自主的な判断に委ねられている対策もある。市町村や住民が手探りの除染活動を強いられている実態は、現行の原子力災害対策特別措置法などの仕組みが不十分であることを示す。
 

被害は県内全域の自然環境や生活環境、産業、経済、教育、保健、福祉などのあらゆる分野に及んでいる。影響が毎日のように広がる中で、当面は臨機応変が大切だ。放射性物質で汚染されたがれき処理などの特別措置法案は26日にも成立する。だが、個別の制度を見直すだけでは復興の道筋は見えてこない。

 県は福島再生特別法の制定によって、長期的で総合的な地域再生の枠組みづくりにつなげる。提案の柱には「放射能汚染からの環境の回復、県民生活の安全と安定」「警戒区域などのふるさと再生」「産業の地盤沈下の防止と振興」などを掲げた。27日の協議会は国、県、市町村のトップがそろう初の「協議の場」であり、特別法を含む議論の行方に県民は大きな関心を寄せている。

 特別法は本県と国との間の限られた問題ではない。全国の原発立地地域も注目している。県は原発を抱える道県に特別法の意義や国との協議内容を知らせ、早期成立に向けた連携や支援を要請することが大切だ。法案を審議する国会でも、本県を含む原発地域の議員が先頭に立って成立に努めてほしい。同時に特別法の施行に必要な法律や制度の点検・整備も国会や政府に求められる。

 特別法に基づく事業には予算の裏付けが欠かせない。財務省は23日、来年度政府予算の概算要求に向けた作業手順を示し、各省庁の予算編成の準備が始まった。例年は年末に政府案が決まり、年明けの通常国会で審議される。特別法づくりと並行しながら、来年度の復興予算の確保も協議会での主要なテーマとなるはずだ。

 県は協議会で県民の苦しみや県土の現状を訴え、政府や国会に早急な対応を促す必要がある。(安田 信二)

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