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2014年の再エネ発電 過去最高に。世界の総発電容量の3割に迫る。経済成長とCO2排出量の”デカプリング”も顕著に。国際専門家集団REN21の報告で明らかに(FGW)

2015-06-19 17:24:27

REN21solarキャプチャ

 エネルギーの専門家らで構成する「21世紀の再生可能エネルギネットワーク」(REN21、本部ドイツ)によると、2014年に世界中で導入された太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電設備容量は過去最高の約1 億3500 万kWとなった。再エネの発電量は世界の総発電容量の27.7%を占め、推計で世界の電力需要の22.8%を供給する規模に達している。2014年度で顕著だったのは、世界経済が約3%成長したにもかかわらず、CO2排出量は前年と変わらず、経済成長とCO2排出量の”デカプリング”の手応えが顕在化した点だ。


 

 2014年導入の発電設備容量を加え、累積では再エネ発電容量は17億1200万kWと、前年比8.5%増えた。このうち太陽光発電(PV)は、2004年からの10年間で10年間で48倍の発電容量となり、風力発電も同じく10年間で8倍近い増加を見せた。

 

 経済成長とCO2排出量の「デカプリング」化は、CO2排出量が世界最大の中国で再エネ利用が急拡大していることと、OECD諸国においてもエネルギー効率化と自然エネルギーの利用拡大が同時的に進展していることなどが効果をあげたと、REN21は指摘している。

 

 近年のグローバル経済のGDP(国内総生産)は平均3%の成長で、これに対してエネルギー消費量の世界平均増加率は年率1.5%。一方、2014年の二酸化炭素(CO2)排出量は2013年の水準から変わらなかった。CO2排出量の増加を伴わずに世界経済が成長したのは、過去40年間で初めてという。

REn21windキャプチャ

 REN21の議長を務めるアルソロス・ゼルボス(Arthouros Zervos)氏は、「自然エネルギーとさらなるエネルギー効率化は、地球温暖化を摂氏2度以内に抑制し、危険な気候変動を避けるための鍵である」と、手応えを強調した。

 

 自然エネルギー発電(出力50MW超の大規模水力発電を除く)および燃料分野への世界のお金の流れをみると、新規投資額は2013年から17%増加し、2702億㌦(約32兆円)、大規模水力発電を含めると、世界の新規投資額は少なくとも3010億㌦(約36兆円)に達した。自然エネルギー発電への新規投資額は化石燃料の発電設備への投資額の2倍以上あった。自然エネルギーへの投資額が化石燃料発電への投資を上回る傾向は過去5年間続いている。

 

 途上国での自然エネルギー投資は前年から36%増加し、1313億㌦(約16兆円)。先進国全体への投資額は2014年に1389億㌦(約17兆円)で、途上国、先進国の自然エネ投資金額はほぼ同規模となっている。途上国への投資額のうち、中国が過半(63%)を占める。そのほか、チリ、インドネシア、ケニア、メキシコ、南アフリカ、トルコなどは、いずれも10億㌦以上の資金が自然エネルギー投資に流れている。

 

REN21moneyキャプチャ

 主要な自然エネルギー投資国は中国がトップで、次いで米国、その次が日本、英国、ドイツの順。GDP当たりの投資額で見ると、ブルンジ、ケニア、ホンジュラス、ヨルダン、ウルグアイの順となる。

 

 REN21は、毎年5500億㌦(約66兆円)以上も投じられている化石燃料と原子力への補助金をなくせば、自然エネルギー市場の成長は、もっと大きくなる可能性がある、と指摘。”ダーティエネルギー”への補助金によって化石燃料や原子力発電のエネルギー価格が人為的に引き下げられる一方で、エネルギー廃棄物を増やし、結果的に、地球環境に膨大な負荷をかけている、と批判している。

 

 クリスティン・リンREN21事務局長は「公平な競争市場を作ることで、エネルギー効率化と自然エネルギー技術がいっそう発展し利用を促すことができる。化石燃料と原子力の補助金を世界的に撤廃すれば、自然エネルギーが最も安い選択肢となることは明らかだ」と述べている。

 

 自然エネルギー分野の雇用も急速に増えている。2014年には、世界全体で推計770万人が直接または間接に、自然エネルギー分野で働いている。

 

  飯田哲也(REN21理事・ISEP所長)は「自然エネルギーは、エネギー供給はもちろん、経済効果でも気候変動対策でも、切り札となる世界的な潮流がはっきりしてきた。にもかからず、今の日本政府は、自然エネルギーを押しとどめ、福島の教訓にも学ばないまま原発復活を推し進めようとしている。こうした今の国の政策は、日本の未来を閉ざそうとしている」と述べている。

http://www.ren21.net/wp-content/uploads/2015/06/REN21_press-release-GSR-2015_JAPANESE.pdf