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北海道・道北での独立系送電網建設計画、凍結に。北海道・本州をつなぐ「北本連系線」がボトルネックに(各紙)

2015-10-07 15:56:54

hokkkaidoキャプチャ

 各紙の報道によると、三井物産、丸紅、ソフトバンクグループのSBエナジー、北海道電力の4社による独立系送電会社の日本送電は7日、北海道で進めていた送電線の新設計画を凍結する方針という。

 同事業は風力発電の適地が多い北海道・道北の宗谷、留萌管内で発電した電力を、本州を含めた他地域で活用できるよう、独立系送電会社によって新たな送電網を建設する試み。経済産業省が2013年度に250億円を補助して立ち上がった事業の一つだった。

 

 当初計画では、風力発電の専用系統線整備を目的に民間事業者がSPC(特別目的会社)を設立、そこに補助する仕組みで、スタートした。事業期間は10 年程度で、事業費ベースでは他の計画を含めて北海道全体で新たに2900 億円を投じて送電網を追加する計画だった。

 

 全体計画の一つとなる道北地域での事業は、増毛町から天塩川以南に至る日本海側ルートを想定し、開発可能性調査を実施してきた。同地域の風力発電の導入ポテンシャルは、第一段階として300MW~600MW 程度と見積もられていた。建設した新送電網は、北海道と本州をつなぐ海底送電線「北本連系」を経由して、都圏にも送電される計画だった。

 

 しかし、北本連系線の増強計画は2019年に今の60万kWから90万kWに引き上げられる予定にとどまることから、北本連系線がボトルネックとなるリスクが出ていた。SBエナジーだけでも北海道北西部に最大で60万kWの風力発電を整備する計画を立てており、90万kWではカバーできない状況だ。だが、北本連携線のさらなる増強は予算上、厳しい状況という。

 

 また、風力発電所の建設に必要な環境影響評価の手続きが長期に及ぶことなどもあり、日本送電は、送電事業の採算性が見通せないとの判断を固めたとみられる。送電網の整備が先送りされることで、SBエナジーの大規模風力発電所建設計画も凍結の可能性が出ている。

 

 営業面の電力自由化を推進しても、供給面の発電・送電インフラの整備が追い付かないと、自由化による競争メリットが市場で実現しないことになる。安定した送電網の整備を、官民でどう連携して展開するかという「振り出し」に戻ったといえる。