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再生エネルギー産業で雇用拡大、石油不振を一部相殺(Reuters)

2015-10-26 22:14:39

rewableenergyemploymentキャプチャ

[シンガポール 26日 ロイター] – 太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギー産業で人員採用が過去最高に達しており、石油・天然ガス業界の人員削減分を一部埋め合わせている。

中国やインドなど、政府が大規模な再生可能エネルギー計画に取り組んでいるアジアが新規採用のけん引役だ。

石油業界は1990年代末以来で最悪の景気悪化に見舞われている。石油関連のエンジニアリングを学ぶ学生は新たな選択肢として再生可能エネルギー分野を検討しているほか、石油業界で10年以上も働いてきた人々の間にも、転職の動きが出ている。

石油産業で15年務め、シンガポールの石油・ガス企業で沖合い設備建設のプロジェクトマネジャーを務める人物は「私個人としては行動を起こすのは時間の問題だ。私にとって問題は石油が尽きることではなく、この産業が消費者側の人気を失いつつあることだ」と語る。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、世界の再生可能エネルギー業界の直接的・間接的雇用は昨年120万人、18%増加して770万人に達した。大半はアジアでの雇用創出だ。

雇用が最も増えたのは中国、インド、日本、バングラデシュなどの国々で、2030年までには世界全体の雇用者数が1600万人を超える可能性があるという。

対照的に、人材会社スイフト・ワールドワイド・リソーシズによると、石油価格が昨年下落して以来、石油・ガス業界では20万人以上の雇用が失われた。

国際労働機関(ILO)によると、石油業界の雇用者数は約600万人で、間接的な雇用者数はその10倍以上に上る。現在の雇用喪失は、石油が大幅下落した1997─98年以来で最大。

<学生の進路>

石油・ガス業界で実習生として働いている世界中の大学生は、こうした人員削減を心配しながら見守っている。

シンガポール国立大学で機械工学を学び、世界最大級の沖合い石油掘削リグ建設会社ケッペル・コーポレーション(KPLM.SI)でインターンを経験している学生は「僕たちは選択肢をオープンにしている。個人的には再生可能エネルギー・セクターへの就職機会を前向きに考えている。成長が見込めるから」と話す。

ニューデリーのテリー大学では今年、学生139人が再生可能エネルギー・プログラムに登録した。この数は2013年の69人、14年の97人から増えている。

<採用活動>

エクイス・ファンズ・グループのデービッド・ラッセル最高経営責任者(CEO)は「大量の西側マネーがアジアの再生可能エネルギー産業に流入している」と語る。

需要に追い付くため、採用担当者は再生可能エネルギーの就職あっせんに関する専門知識を身に着ける必要に迫られている。

多くの国々が温室効果ガスの排出を削減するために再生可能エネルギーへのシフトを約束していることが、こうした変化の背景だ。

中国は太陽光発電施設の今年の設置目標を30%引き上げた。IRENAによるとインドは2022年までに風力発電施設を3倍に、太陽光発電の能力を33倍に増やすと約束しており、100万人の新規雇用が見込まれる。

石油業界に進もうと考えている学生は不安を募らせている。

オーストラリアのアデレード大学で石油工学を学ぶ学部3年生は「僕のクラスメートはほとんど、お給料が良いという理由で石油エンジニアリングを選んだ。卒業するまでに相場が回復してくれればいいけど」と話した。

(Jacob Gronholt-Pedersen記者)

 

http://jp.reuters.com/article/2015/10/26/angle-renewable-energy-job-idJPKCN0SK0HY20151026?sp=true