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東電HDの小早川社長、「再生エネ事業を推進、事業の柱の一つに」。純利益ベースで年1000億円目指す。原発事業の重荷、火力事業の伸び悩みを反映(各紙)

2018-02-19 10:57:25

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  各紙の報道によると、東京電力ホールディングス(HD)の小早川智明社長は、国内外で再生可能エネルギー事業を推進する方針を打ち出した。「火力等を手掛けるJERA並みに育てたい」と述べ、純利益1000億円程度を確保できる事業の柱の一つにしたいとの考えを示した。2018年度中に事業内容や展開地域、体制などを決めるという。できれば、原発、石炭火力事業からの脱却見通しを示してからにしてもらいたい。

 

 東電はすでに2017年5月に公表した経営再建計画で、中期的な目標として、福島第一原発事故の処理に必要な資金年5000億円を確保し、純利益4500億円を出す収益体制を目指す方針を明らかにしている。ただ、現時点では新潟の柏崎刈羽原発の再稼働の見通しが立たないなど、現状の原発、火力中心のビジネス体制では目標純利益4500億円を確保できず、1500億円ほど不足する状況という。そこで、不足分を補う柱に再エネ関連事業を盛り込んだ形だ。

 

 ただ、太陽光発電は固定価格買取制度(FIT)の買い取り価格が当初に比べて半値以下に低下しており、大規模発電も用地不足が深刻になっている。風力発電は洋上風力が有力だが、技術面とコスト削減等が課題。バイオマスは急増しているが燃料確保のカベが指摘されている。

 

 こうした環境下で、再エネ市場で「後発」の東電が毎年1000億円以上の純利益を確保するのは容易ではないとみられる。また小早川社長は、再生エネ関連事業への投資に限らず、つくった電力を送配電網にいかに流すかという「ネットワークソリューションもやるようなビジネスモデル」を検討するとしている。

 

 この点も、現在、再エネ事業者が既存電力の送配電網への接続問題に直面していることを考えると、東電が自社の再エネ事業を優先してネットワーク化することを目指すようだと、公平性の観点から問題が生じる可能性もある。

 

 小早川社長は、新たな再エネ投資に振り向ける資金に制約があることから、事業展開に当たっては国内外の他社との連携も模索する、としている。目下、東電の利益源となっているJERAは中部電力との協働会社で、2030年度に売上高4兆6000億円、純利益2800億円を目指している。出資比率を勘案すると東電への利益貢献は単純計算で1400億円となる。

 

 日本原子力発電が東海第2原発(茨城県東海村)の安全投資に必要な資金調達で、電力の販売契約を結ぶ東電などに支援要請をしている問題では、「経済合理性を大前提に、必要な電源は調達する」と述べた。毎年更新する東海第2原発からの電力購入単価などを踏まえ、同原発をどこまで支援するかを決める。

 

 建設段階で止まっている東通原発(青森県東通村)の事業再編については、他社との共同事業体づくりについて「広く声をかけて各社と協議している」などと述べた。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27012160W8A210C1X93000/

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00462404?isReadConfirmed=true