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日米カナダ主導で、原発普及推進の国際イニシアティブ「NICE」立ち上げ。「CO2フリーのクリーンエネルギー」を強調。安倍政権、国内の脱原発の動きに対抗、明確に。(RIEF)

2018-05-27 23:57:15

 

 脱原発が国内の政治課題となっているが、米、カナダ、日本が主導する形で、CO2フリーのエネルギーとしての原発の普及を図る国際パートナーシップ「NICE」が結成された。欧州で開いた国際会議で確認されたもので、安倍政権は経産省大串正樹政務官を派遣、原発推進の姿勢を国際的に明確に示した。

 

  原発推進の国際パートナーシップは、デンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのマルモの両都市で先週開いた第9回クリーンエネルギー大臣会合(CEM9)で正式に公表された。同会議で、日米カナダの3カ国が中心になって、原発を温暖化対策として推進するために「The Nuclear Innovation: Clean Energy (Nice) partnership」を結成することで合意した。

 

 新たな国際連携には、すでにロシア、英国、ポーランド、ルーマニア、アルゼンチン、UAEが参加を決めているほか、それ以外にも二ケタの国々が検討していると報じられている。さらに国際エネルギー機関(IEA)、OECDの原子力エネルギー機関(NEA)なども関心を示しているという。

 

 NICEイニシアティブは、米国エネルギ―省のダン・ブルイエット(Dan Brouillette)副長官と、カナダの天然資源省のキム・ラッド(Kim Rudd)政務官、そして日本の経産省の大串 政務官の3人が主導役とされる。

 

nice2キャプチャ

 

 原発は東京電力福島第一原発事故の後、安全対策の費用が上昇、再生可能エネルギー発電のコスト低下もあって、多くの国で経済的に採算が合わない状況が起きている。その一方で、原発は発電時には、CO2を排出しないことから、温暖化対策に貢献できるというのが原発推進派の以前からの主張だ。今回のNICE結成は、温暖化対策を全面に打ち出して、「クリーンエネルギー」としての原発推進を後押ししようという判断のようだ。

 

 共同声明では、「CEMとして、原発をクリーンエネルギーの側面を強調するのは初めて。NICEのイニシアティブは、改善された電力システムの統合を、原子力と水力や再エネなどの低炭素システムのようなイノベーティブで総合的、かつ先進的なエネルギーシステムとその応用を通じて進めるだろう」と、原発を低炭素エネルギーシステムの軸に据えることを目指すとしている。

 

 また、脱原発の政策選択が複数の国でとられていることを念頭に、「すべての国で原発を国のエネルギー政策に位置付けていないことを踏まえ、イノベーティブで先進的な原発技術がエネルギー需要だけでなく、さらなる経済成長と効果的な環境スチュワードシップに果たす役割を普及させる必要性がある」として、脱原発の動きに対抗する姿勢を強調している。

 

CEM会議に出席した大串経産省政務官
CEM9会議に出席した大串経産省政務官

 

 さらに、「こうした対話(普及活動)が成功すると、原子力エネルギーが、あらゆる他の形式のクリーンエネルギーと連携できる補完的な役割となる統合的な展望につながることが、産業セクターの境界を超えて理解されるようになるだろう」との展望も示している。

 

 NICEを主導する米国のブルイエット・エネルギー副長官は「日米カナダが主導したNICEイニシアティブに参加してくれる国々や国際機関に感謝を表明したい。原子力には多くの独自のベネフィットがあることへの理解を、グローバルに進めることができるだろう」と期待を表明している。

 

 またリック・ペリー・エネルギー長官も「原子力エネルギーは非常に重要な存在だが、大気を改善する役割は、さらなる持続的なイノベーションによって高まるが、そのことについては過少評価されている。原子力は、世界にとって、よりクリーンで、より安全で、より信頼でき、より強靭なエネルギーを供給できるのだ」とのコメントを寄せた。

 

 ただ、原子力が温暖化対策に貢献するという米国の主張は、温暖化対策推進のパリ協定から離脱したトランプ政権の政策が場当たり的であることを示す形でもある。なぜなら、温暖化対策を重視しないとしながら、原発は温暖化対策に貢献するので推進する、という矛盾した主張を平然と行っているからである。

 

 日本政府の姿勢も問われる。未曽有の事故と被害をまき散らした東電福島原発処理の先行きが不透明な状況が続く中で、また脱原発の国民意識が根強いにもかかわらず、「原発推進」の国際的イニシアティブの声掛け役を演じた点だ。この点で、国内世論の反発を恐れてか、今回のCEMでNICEイニシアティブを立ち上げたことの発表は、国内でなされていない。

 

 しかし、海外のメディアは「安倍政権がフクシマ後、初めて原発推進を国際舞台で宣言した」などの評価が出ている。

 

 現地での報道によると、会議後に大串政務官は「今回のイニシアティブが原子力のイノベーションに関する世界の知恵を生み出すことを期待している。われわれの目的は、民間セクターの知恵によって新たなコンセプトに基づく原子力のイノベーションを促進することにあり、その中にはより高い安全性と効率性と柔軟性を伴った再エネとの調和も含んでいる」と語ったという。

 

 現在、世界では約50の原発が建設中。その大半は、中国と、インド、UAE、そしてロシア二集中している。欧米では経済的に見合わないとして、新設計画はほとんどみられない。日本は政府が既存原発の再稼働促進を最優先で推進している段階で、新設の可能性はほとんどない。日本政府は原発輸出に力を入れているが、トルコや英国での案件はコスト高の影響で微妙になっている。

https://www.energy.gov/ne/articles/it-s-time-world-recognize-nuclear-clean-energy-source