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小水力発電からで水素を製造、電力だけでなく熱利用に効率活用。国内初の実証実験が北海道・釧路市で開始(RIEF)

2018-05-30 15:28:24

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  東芝エネルギーシステムズは岩谷産業と連携し、北海道釧路市で小水力発電を利用した水素サプライチェーンを構築する実証実験を始めた。寒冷地の北海道では、電気の利用だけでなく、熱利用が多いことから、小水力の電力から水素を製造し、農業や温水プール、燃料電池車の燃料等に多様に利用スル可能性を探る。

 

 実証実験を実施するのは、釧路市白糠町(しらぬかちょう)。同町にある庶路ダムに200kWの小水力発電所を建設し、そこで発電した電力と東芝エネルギーシステムズ製の水電解水素製造装置で、1時間当たり最大約35N(ノーマル)㎥の水素を製造する計画だ(N㎥は0℃、1atmの状態でのガスの容積を表わす単位)。

 

 製造した水素は共同事業者の岩谷産業が貯蔵・運搬し、釧路市内の福祉施設や、白糠町内にある酪農家、また白糠町温水プールに設置する東芝製の純水素燃料電池「H2Rex」に供給するほか、トヨタ自動車士別試験場において燃料電池自動車の燃料として利用する。

 

小水力を使った水素サプライチェーンシステムのイメージ
小水力を使った水素サプライチェーンシステムのイメージ

 

 小水力発電の電気を直接利用して水素を製造する実証事業は国内で初めて。同事業は、環境省の「地域連携・低炭素水素技術実証事業」として2019年度末までの期間で採択されている。

 

 水素を貯蔵する純水素燃料電池「H2Rex」はすでに実用化されている。水素を直接用いて発電するため、CO2を発生させずに発電できるうえ、5分弱という短時間で発電を開始できる点が利点だ。30日には、100kWモデルが、川崎市殿町キングスカイフロント地区で開業予定の「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」に導入された。また、昭和電工向けには、使用済みプラスチックから精製された水素を供給して発電している。

 

 小水力発電を、電力以外の熱利用もできるように水素に変換することで、より効率的なエネルギー利用が可能となる。東芝エネルギーシステムズでは、今回の実証実験を通じて、実用化のメドをつけて、今後、北海道を中心に寒冷地での再生可能エネルギーの導入を拡大、ビジネス展開とともに、CO2排出量削減にも貢献する方針だ。

https://www.toshiba-energy.com/info/info2018_0524.htm