HOME10.電力・エネルギー |神戸製鋼が進める神戸市内での大型石炭火力発電所計画、周辺住民が建設・稼働の差し止め訴訟を提起。「人格権の侵害」(各紙) |

神戸製鋼が進める神戸市内での大型石炭火力発電所計画、周辺住民が建設・稼働の差し止め訴訟を提起。「人格権の侵害」(各紙)

2018-09-16 14:32:41

kobe4キャプチャ

 

  神戸製鋼所が神戸市内で計画している石炭火力発電所の増設計画をめぐり、周辺住民ら40人が14日、同社など3社を相手に、発電所の建設と稼動の差し止め等を求める訴訟を神戸地裁に起こした。原告らは、CO2排出量増加による地球温暖化の加速や、ばいじん等による住民の健康影響悪化などを指摘、「生命、身体などの人格権を侵害する」と提訴理由で主張している。

 

 訴訟の被告は、神戸製鋼所のほか、発電所の運営を担うコベルコパワー神戸第二、電力を購入する計画を締結している関西電力の各社。神戸製鋼の計画では、同社の高炉設備を休止した跡地に、65万kWの発電能力を持つ「神戸製鉄所火力発電所(仮称)」石炭火力を2基建設し、2021年から稼働する方針。

 

 だが、同発電所は住宅地から 400m の至近にあり、既存のものも含めると、合計 270 万 kW の石炭火力が都心のど真ん中で汚染物質を排出することになる。CO2を年間692㌧排出し、その排出は30年以上続く。このため、原告団は訴状で、「温暖化による気候変動が、西日本豪雨のような災害の激烈化を招く恐れが強い」と指摘している。

 

kobe1

 

 弁護団によると、原告は神戸、芦屋、西宮の住民合計31世帯。「子どもや孫の世代がより深刻な被害を受ける。みんなの空気、地球を守りたい」としており、2歳の幼児から86歳の高齢者までが原告に加わっている。

 

  同発電所の石炭の使用量は年間317万㌧に及ぶ。CO2排出量は既設分を含めると約1400万㌧(一般家庭430万世帯分)と膨らみ、神戸市全体のCO2排出量(約1200万㌧)を上回る。http://rief-jp.org/ct4/71654

 

 

発電所の建設予定地(神戸市内)
発電所の建設予定地(神戸市内)

 

 神戸製鋼が計画する発電所は、従来の石炭火力よりもCO2排出量が10~20%少ないとされる超々臨界圧火力発電(USC)。だが、原告側は「USCよりもCO2排出量がさらに少ない天然ガス発電を選択肢として検討していない」などと指摘している。

 

 神戸製鋼は、環境影響評価(アセスメント)での調査の結果、「周辺環境への影響は小さく、国などが定める環境基準・目標の維持達成に支障を及ぼさない」と反論している。また「当社グループの電力事業は国のエネルギー政策と整合し、関係法令もすべて満たしている」と主張し、原告の訴えに全面的に反論する構えだ。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201809/p1_0011639126.shtml