HOME |マクロン仏大統領、2035年までに原発14基閉鎖を発表。原発50%比率達成も同年度に先送り。市民の抗議が続く燃料税増税問題では増税時期先送りし、3カ月の協議期間を提案(RIEF) |

マクロン仏大統領、2035年までに原発14基閉鎖を発表。原発50%比率達成も同年度に先送り。市民の抗議が続く燃料税増税問題では増税時期先送りし、3カ月の協議期間を提案(RIEF)

2018-11-27 23:13:04

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 フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は27日、国内で稼働中の原子炉58基のうち、14基を2035年までに閉鎖し、そのうちの4~6基は、2030年までに閉鎖すると公表した。さらに温暖化対策として2022年までに石炭火力発電所を4基閉鎖する。ただ、オランド前政権が原発依存度を50%へ引き下げる目標年度は2025年から2035年に遅らせる。

 

 閉鎖する原発には、すでに閉鎖を公表している現存でもっとも古いフランス東部のフェッセンアイム(Fessenheim)の2基の原発も含まれる。マクロン大統領は同原発は2020年夏に閉鎖すると述べた。ただ大統領は「原発エネルギーの削減は、原発活用の断念を意味しない」と述べ、原発中心のエネルギー政策を変えるつもりはないとの姿勢を強調した。

 

 フランスはこれまで、エネルギーに占める原発の比率は72%にまで高めてきた。しかし、市民の間では原発に対する不安が少なくないほか、原発偏重のエネルギー政策への懸念も出て、オランド前政権は50%への縮減策を打ち出した。マクロン大統領は前政権の原発縮減策を受け継いだものの、50%への縮減の達成時期は5~10年先に遅らせる形となった。

 

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 原発稼働を減らし、石炭火力も減少させる一方で、原発比率50%に引き下げる2035年までに、太陽光発電の発電量については5倍に、風力発電は3倍にそれぞれ増強する、と公表した。また国営電力会社EDFに対しては、次世代の欧州加圧水型原発(EPR)のフィージビリティスタディを実施するよう要請したことも明らかにした。

 

 EDFはEPR原発の第一号を2012年に稼動させるべく、大西洋岸のFlamanvilleに建設した。しかし、技術的な問題と建設費増大の両方の要因で、同事業は暗礁に乗り上げている。大統領はEDFに対して、より安全なEPRの次世代バージョンの開発を求めたわけだ。だが、その実現性については2021年までに結論を待たざるを得ない状況だ。

 

 一方、大統領は二週続けて週末に燃料税増税に反対する市民の抗議行動がフランス全土で展開されたことにも触れた。石油価格が上昇していることを理由に、増税時期を遅らせる可能性に言及した。先週末の抗議行動は、警官隊との衝突を引き起こし、パリ市内の大統領官邸のエリゼ宮周辺でも激化した。

 

 大統領は抗議行動を沈静化するため、抗議行動を続ける「黄色いジャケット」グループや関連団体等と3カ月の協議期間を設けることを提案した。

https://www.washingtonpost.com/business/macron-says-france-will-delay-cap-on-nuclear-energy/2018/11/27/21c0b498-f230-11e8-99c2-cfca6fcf610c_story.html?utm_term=.0707e946af8e

https://www.nytimes.com/aponline/2018/11/27/world/europe/ap-eu-france-gas-price-protests.html