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伊藤忠商事、フィリピン・ミンダナオ島で、グループ会社が生産するパイナップルの残渣からのバイオマス発電を活用へ。環境負荷低減と電力節減に(RIEF)

2018-12-15 10:23:18

itochu1キャプチャ

 

 伊藤忠商事は、フィリピン・ミンダナオ島で「パイナップル発電」に取り組む。グループ会社のDole Philippines(Dolefil) が製造するパイナップル製品の残渣を、現地のバイオガス・ベンチャー企業に燃料として提供、ガスから発電した電力をまた、同社が買い取る形で循環させる。環境負荷の削減と、Dolefil社の燃料費削減につながる。

 

 (写真は、先月開いたバイオマス発電設備の起工式の様子)

 

 Dolefil社は、伊藤忠のグループ会社。パイナップル残渣からバイオマスガスを製造するのはMetro Pacificグループ傘下の「Surallah Biogas Venture Corp.(SBVC)」。DelfilとSBVCは16年間の長期エネルギー売買契約を締結した。

 

パインはおいしい。
パインはおいしい。

 

 SBVCの親会社のMetro Pacificグループは、フィリピンで電力・水道・病院・高速道路などを運営する大手企業グループ。SBVC社がバイオガス発電設備を建設する。操業は2020年からの予定で、バイオマスガスと電力を固定価格でDolefilに提供する。

 

 ミンダナオ島では近年、電気料金が高騰しており、Delfil社にとっても経営課題の一つとなっている。今回のバイオマス発電が実現すると、電力を安定的に確保でき、廃棄物処理コストも低減する効果が期待されている。

 

 Dolefilで生産されたパイナップルは日本や北米に輸出されている。同社ではバナナも輸出しているが、バナナの場合は、採取してそのまま輸出する。しかし、パイナップルの場合は、現物だけでなく、缶詰やジュースにも加工するため、加工残渣が大量に発生する。

 

 パイン残渣を大型タンクに入れて一定期間発酵させると、バイオガスが発生する。このガスを使って発電する仕組みだ。同社のパイン生産量は年70万㌧に上ることから、発電用に一定の残渣を確保できる。発電した電気は、パイン工場で缶詰やジュース等に加工する際の電気代に充当する。これまでの電気代を約2割削減できるという。同電力は再エネ電力になることから、CO2削減にも貢献する。

https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2018/181213.html