HOME13 原発 |廃棄物処理大手タケエイ、福島・田村市で「地産地消型」のバイオマス発電所工事に着工。だが地元住民は、東電福島原発事故の「汚染森林資源」の利用に懸念(RIEF) |

廃棄物処理大手タケエイ、福島・田村市で「地産地消型」のバイオマス発電所工事に着工。だが地元住民は、東電福島原発事故の「汚染森林資源」の利用に懸念(RIEF)

2019-01-16 20:17:30

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  廃棄物処理大手のタケエイ(東京)は、福島県田村市で準備を進めていた木質燃料のバイオマス発電所の建設に着手した。100%県内の森林資源を活用して発電する。出力は7050kW。完成は2020年3月の予定で、同社としては国内5番目の木質バイオマス発電所だ。だが、これまでと違って、燃料とする県内森林資源が放射性物質で汚染されている懸念から、住民の間では反対運動も起きている。

 

 (写真は、タケエイが既に稼動させている青森県の津軽バイオエナジー平川発電所)

 

 バイオマス発電所が建設されるのは、田村市大越町上大越にある住友大阪セメント工場の跡地。総事業費は54億円とされる。事業主体は「田村バイオマスエナジー社」。タケエイが80%、田村市が20%を出資して設立した。隣接地に同発電所の熱を利用した農業工場の併設も検討するという。http://rief-jp.org/ct10/82305

 

 タケエイはこれまで、青森、岩手で、バイオマス発電事業を稼動させているほか、来月には秋田で、さらに10月には神奈川県横須賀市で新たに同発電事業を稼動させる予定だ。同社のバイオマス発電は、100%地域の森林資源等を活用するもので、東南アジアなどからの輸入ペレット等に頼った一部のバイオマス発電とは異なり、地産地消の電力となる。ただ、福島県での事業の場合、その地元の森林資源をめぐる懸念が浮上している。

 

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 発電所で使用する森林資源は、県中地区での間伐材を中心に、産業廃棄物や解体家屋、片付けゴミなどを活用するという。東電福島原発事故による放射性物質の除去は、住宅部分は終わり、現在、「ふくしま森林再生事業」で奥山の間伐を実施中だ。伐採した製材品の放射線量の測定では、福島県の最新のデータ(昨年10月)では、県内工場での製材品の表面線量は最大27cpm(0.001μシーベルト/時)で、「安全」な範囲にあるという。http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/293722.pdf

 

 ただ、地元住民たちは、今回のバイオマス発電では、白チップ(樹皮をはいだ製材部分)だけでなく、樹皮(バーク)も燃やす方向であることから、表面が放射能汚染された間伐材等が燃料に含まれるリスクがあると懸念している。また産業廃棄物や解体家屋等を燃やすことでの二次汚染の可能性も指摘している。

 

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 環境省は、福島県内でのバイオマス発電を補助金等で積極的に支援している。間伐材等の処理が進めば、奥山除染がはかどるためだ。住民らの不信感除去のため、田村市では発電所からの粉じん等を取り除くためのバグフィルターやHEPAフィルターの設置を公表した。だが、それらのフィルターを大型のバイオマス発電に適用する例は、過去にないという。

 

 バイオマス発電では海外燃料に頼らず、地元密着型の発電所を展開しているタケエイだけに、地元の不安を払拭できるような技術の導入や、運営への信頼性を醸成したうえで、取り組んでもらいたい。

http://www.takeei.co.jp/

http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2018/09/hepa-a99f.html