東急電鉄、東京・世田谷線を再エネ電力100%の「クリーン路線」に切り替え。全国初。年間、東京ドーム約半分のCO2削減(RIEF)
2019-03-25 20:28:53
東京急行電鉄は25日、わが国で初めて、再生可能エネルギー100%電力だけで走る電車の運行を始めた。東京都世田谷区を走る世田谷線(三軒茶屋~下高井戸間約5km)で実施する。年間でCO2排出量を1263㌧(東京ドームの約半分)を削減できる。
使用する再エネ電力は東北電力から調達する。東急グループの東急パワーサプライが東北電力の取次ぎ事業者として参加する。同社には東北電力も出資し、東北管内以外での電力販売に活用している。
東急は、2018年度からの中期経営計画で“Make the Sustainable Growth”をグループ全体のスローガンに掲げており、今回の世田谷線の「CO2ゼロ路線化」はその一環と位置づけている。
東北電力は、東北・新潟地域での水力発電と地熱発電等の電力を供給する。東北電力は世田谷線の電力使用量実績と、再エネ電力の水力・地熱発電所の発電電力量実績を両方とも常時確認し、世田谷線運行の全時間帯の使用電力量が再エネ電力であることの証明を提供する。
世田谷線は、世田谷区東部を縦断する地域密着路線。三軒茶屋から下高井戸まで総延長約5km、10駅を結んでいる。年間の消費電力量は約200万kWhで一般家庭約670世帯分に相当する。
同線は、東京都内では都電荒川線とともに残る数少ない路面電車として鉄道ファンの人気も高い。一日平均の輸送人員は5万7541人(2017年)。
首都圏の私鉄等各線は、沿線価値の向上をめぐって競争を繰り広げている。東急も今回の施策で、クリーン路線と事業方針のクリーン性を投資家や地域住民に強調する形だ。東急は「東急でんき」のブランドで沿線各地を中心として電力小売り業を実施しているが、自前の発電所は保有していない。
同社は同日、世田谷線の三軒茶屋駅で出発式を開いた。参加した東急の巴政雄副社長は「これまでの省エネ対策に加え(今回は電力の)調達面に着眼した。沿線価値の向上につなげたい」と強調した。
https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20190325-1-1.pdf