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放射性物質の土壌汚染対策、打つ手なし。専門家(FGW)

2011-03-31 22:25:40

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉化の方向が定まったが、懸念されるのはこれまで、さらにこれからも放出される放射性物質による周辺地域の土壌汚染の影響である。土壌汚染浄化の専門家は、放射性物質の浄化・除去の効果的な手段はない、という。

すでに文科省の調査で、福島原発から40㎞圏でも放射性物質のセシウムなどが見つかっている。また東電自身の調査では、原発の敷地内土壌からも国内土壌の平均より3倍高いプルトニウムが検出されている。米英のこれまでの経験でも、廃炉の費用負担の多くは健康被害への補償を別にすると、土壌汚染による建物・不動産の買い上げ費用が大きい。

 通常、土壌汚染ではもっとも費用のかかる方法として、汚染土壌を全部掘り出し、汚染されていない別の土壌と入れ替える掘削除去という手法がある。土壌汚染対策法では、掘り出した土壌については、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を付けて不法投棄を避け、セメント工場などで焼却処分にする場合が多い。ところが、放射性物質が含有している土壌を焼却すると放射性物質を拡散させてしまうリスクがある。このため、土壌汚染の専門家たちも浄化対策の決め手は考え付かない、としている。

例えば、ヨウ素は184℃で気体となる。要素派半減期が8日と短いが、空気中の放射性ヨウ素を体内に取り込むと甲状腺に集まり、遺伝子が傷つくと甲状腺ガンを引き起こす。チェルノブイリ原発で甲状腺ガンを発症した子供たちは、事故の5年後くらいから増加し、10年後にピークとなった。

また半減期が30年と長いセシウムは678℃で気体となる。チェルノブイリ原発では半径約250㎞にわたってセシウム含有の土壌があるという。特にセシウムは土壌粒子と結合しやすいため、長期間、土壌から離れないという。プルトニウムは原発の敷地以外にはあまり放出されないとされるが、半減期は2万4000年という気の遠くなる期間、汚染が続くことになる。したがってプルトニウムが漏れた原子力発電所の敷地一帯は、不毛の地になる。