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出光興産、オーストラリアでの石炭鉱山跡地を利用して揚水型水力発電の事業化へ。発電量250MWを想定。「石炭」→「水力」転用のモデルケースに(RIEF)

2019-08-01 12:30:07

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  出光興産は、オーストラリアで廃鉱となった石炭鉱山跡地を利用して、揚水型水力発電所の事業化を検討する。同国の大手電力会社AGLエナジーと共同で、発電量250MWの水力発電を目指す。化石燃料事業を有効活用し、自然エネルギー事業に転用すると同時に、地域経済の再生にも貢献する期待がある。

 

 (写真は、石炭鉱山跡地を揚水発電所に転用する計画案)

 

 出光が揚水型水力発電事業を計画するのは、オーストラリアのNew South Wales州にあるマッセルブルック(Musswell Brook)の石炭鉱山の採掘跡地。同鉱山は出光の子会社である出光オーストラリアリソーシス(Idemitsu Australia Resources Pty Ltd、ブリスベン)が100%保有している。

 

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 マッセルブルック鉱山は開山後111年の歴史を有する鉱山で、これまで日本やオーストラリア国内にも良質な石炭を供給してきた。2018年の生産量は150万㌧。同国では大規模な露天掘りで開発された石炭鉱山の跡地の修復・再生が州法等で求められており、操業中の鉱山でも採掘が終わった地域では再生が求められる。https://www.envirojustice.org.au/projects/dodging-clean-up-costs-six-tricks-coal-mining-companies-play/

 

 出光では開発地を単純に埋め戻すなどの方法に代えて、鉱山の採掘跡地と隣接する丘陵地(ベルズマウンテン)の地形に着目し、揚水型水力発電事業化に切り替えることを目指す。丘陵地の頂上に上部貯留池を設置、鉱山の採掘跡地を下部貯水池に転用する。高低差は約500mを確保できることから、十分な発電が得られるとみている。

 

オーストラリアの石炭鉱山は露天掘りで、自然を根こそぎ変えてしまう
オーストラリアの石炭鉱山は露天掘りで、自然を根こそぎ変えてしまう

 

 同地域では日中に豊富な太陽光が得られることから、太陽光発電の電力や周辺の風力発電等と組み合わせ、夜間に安価な再エネ電力を揚水のために活用できる。揚水発電は、早朝と夕方の需要帯に実施する想定だ。事業化には発電した電力を供給するAGLエナジー社も加わる。揚水発電所を事業化することで、現地での雇用確保にも貢献できる。

 https://www.idss.co.jp/news/2019/190726_2.html