HOME11.CSR |太平洋セメント、セメント生産でのCO2排出削減で、廃プラ燃料比率を50%に引き上げへ。2023年までに全国12基のキルンを改造。CO2削減と廃プラ削減の両方に効果。TCFDにも署名(各紙) |

太平洋セメント、セメント生産でのCO2排出削減で、廃プラ燃料比率を50%に引き上げへ。2023年までに全国12基のキルンを改造。CO2削減と廃プラ削減の両方に効果。TCFDにも署名(各紙)

2019-08-06 12:22:31

taiheiyocementキャプチャ

 

  各紙の報道によると、太平洋セメントは、セメント製造の焼成工程で使う石炭の使用比率を、2023年までに現在の85%から50%に引き下げる。代わりに、廃プラスチックの比率を15%から50%に増やす。CO2排出量は現状より約1割削減できるという。設備投資に600億円を投じる。同時に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の支援企業にも署名した。

 

 (写真は、太平洋セメントの北海道・北杜市の上磯工場)

 

 日刊工業新聞が報じた。同社は7月に2050年を展望したCO2削減の長期ビジョン骨子を公表している。その中で、2050年にはセメント生産でのCO2排出削減80%を目標に掲げた。目標実現のために化石燃料エネルギーの代替の使用拡大や、CO2排出量の少ない化石燃料への切り替え等を掲げている。今回の焼成燃料としての廃プラスチック比率の引き上げは、こうした方針を具体化した一歩といえる。

 

 同社は2023年までに、国内すべての工場にある合計12基のキルン(回転釜)を廃プラに対応できるように切り替える。600億円の設備投資にはキルンの増強や、プラスチックの燃焼に伴って発生する塩素濃度を下げるための設備の設置なども含まれる。キルン増強には1基当たり50億円がかかる見込み。また今後、廃プラにはカーボンファイバー等の含有が増えるとみられるが、そうした雑多な廃プラへの対応も踏まえるという。

 

 逆に重要になってくるのが、代替燃料とする廃プラの確保だ。現在、廃プラは消費需要の多い関東などの都市部では大量に確保できる。しかし、地方では焼成の継続に十分な量を確保する課題があり、現在も、地方の主力工場である上磯工場(北海道北斗市)や大分工場(大分県津久見市)には都市部から輸送している。

 

 今後、こうした「都市→地方」への廃プラ燃料の輸送需要が高まるとみられることから、函館港に定期船を就航させるなど、輸送体制も強化する。

 

 セメントは生産1㌧当たり、約700kgのCO2を排出する。排出されるCO2の内訳は約55%が石灰石の脱炭酸、約35%がキルンでの焼成によるエネルギー、約10%が電力使用による。太平洋セメントでは今後も、CO2を最も多く排出する石炭使用量の大幅削減を進めるとしている。

http://www.taiheiyo-cement.co.jp/news/index.html