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鉄道総合技術研究所、燃料電池とバッテリーのハイブリッドエネルギーで走る低炭素車両の改良版を公開。出力1.5倍に増強。実用化に一歩(RIEF)

2019-09-11 13:26:58

Jr1キャプチャ

 

 JRグループの公益財団法人「鉄道総合技術研究所」(東京・国立市)は、水素エネルギーを活用した燃料電池と、バッテリーのハイブリッド・エネルギーで動く電車の改良型を公開した。従来型に比べ、燃料電池の出力が1.5倍に高まり、装置も小型化し、実用化に一歩近づいた。

 

 鉄道総研では、2008年から燃料電池とバッテリーを組み合わせたハイブリッド試験電車の開発に取り組んでいる。今回の開発では、これまでのものに比べて、燃料電池の高出力化を進めたほか、冷却装置を分散配置することで、出力を50%増大させ、150kWに高めた。起動加速度も2.5km/毎時毎秒と、従来に比べて電車相当まで大幅に高めた。

 

従来型に比べて、車内はすっきり。このまま走れそう
従来型に比べて、車内はすっきり。このまま走れそう

 

 同時に、出力当たりの体積を20%減少することに成功した。燃料電池用電力変換装置についても、炭化ケイ素(SiC)素子や小型遮断器等を採用することで、体積を45%縮小できた。この結果、従来型では、車両内に設置されていた電力変換装置等は車両の床下に収納され、車内は、通常の車両と同様、すっきりした。

 

JR3キャプチャ

 

 JR等は、パリ協定への適合のため、化石燃料をエネルギー源とするディーゼル車両を、燃料電池車両に代替させる方針で、開発を進めている。今回開発した新車両で、搭載機器の小型化・高性能化にメドをつけることができたことから、今後、鉄道総研の所内試験線での走行試験を重ね、ハイブリッドシステムの制御方法の改良、燃料電池への負荷を減らした制御方法等の研究開発に取り組み、実用化に向けていくとしている。

https://www.rtri.or.jp/