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地域電力の「宮崎電力」。蓄電池付き「卒FIT」電力購入で、1kWh当たり22.5円を提示。国内最高価格。宮崎県内の家庭に限定。「卒FIT」市場は地域電力優位(?)(RIEF)

2019-12-06 18:45:25

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 宮崎電力(宮崎市)は4日、固定価格買取制度(FIT)の買取期間が満了した住宅用太陽光発電ユーザー向けに、新たに電力を買い取るプランとして、蓄電池購入を併用した場合、1kWh当たり22.5円の買い取り価格とするプランを発表した。「卒FIT」電力の買取価格としては国内最高額になる。

 

  同社の発表によると、提供するプランは「卒FIT蓄電池セットプラン」。宮崎電力から3kW以上の蓄電池を購入するとともに、「余剰電力売電の乗り換え」を契約した顧客に対して、1kWh当たり22.5円で買い取る。ただし、対象エリアは宮崎県のみ。期間は1年間。

 

 「卒FIT」になると、これまで高値のFITで売電できていた契約が期限切れとなり、太陽光発電設備を持つ家庭は、余剰電力を自ら使用するか、新たに電力事業者と買い取り契約を結び直す必要がある。このため、「卒FIT」電力の新規買い取りをめぐって、新旧の電力事業者や関連機器業者等が、入り乱れる形で、新規契約競争が展開されている。

 

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 現状、余剰電力だけを契約替えする場合は、1kWh当たり8~10円前後で、蓄電池を併設する場合に15円前後を提示するケースが多いようだ。こうした「相場観」に対して、宮崎電力の「蓄電池込みで22.5円」の買い取り価格は破格の買い取り水準になる。

 

 同社自身、6月に発表していた「卒FIT」向けの余剰電力だけの買い取り価格では、太陽光発電設備の設置容量が10kW未満(余剰買取)で現在買電の契約プランから同社プランへの切替え可能な顧客向けの買い取り価格は、10円/kWh。これにあてはまらない顧客は8円、としていた。

 

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 今回、蓄電池付きで買い取り価格を大幅に引き上げたのは、同社が2018年11月に宮崎県初の地域新電力として事業を開始した経緯が大きいようだ。同社は設立理念に「地元宮崎に貢献する」ことを掲げ、10月1日からは、宮崎県庁4号館(宮崎市)と西臼杵支庁舎(高千穂町)への電力供給を開始するなど、地域に根ざした事業展開を進めている。

 

 こうした営業姿勢から、地盤である県内の顧客をしっかり確保するとともに、家庭の防災対策として電力自給体制を強化する蓄電池整備を進めたい行政の意向も受けて、今回の高価格を提示した形だ。適用は県内に限定することで、「出血買い取り」を避ける狙いもある。

 

 地元の電力事業者の強みとして、顧客にあった蓄電池の提案、丁寧な設置工事、アフターサービス等もアピールしている。また、宮崎県への電力供給に続いて、10月9日には、宮崎県児湯郡新富町との間で、エネルギー政策をはじめとした災害対策に関する包括連携協定を結んだ。その取り組みの一環として、同町に対して従来の電力会社と比べて割安な電気料金メニューを提供している。他の地域電力会社にも、「地域フォーカス」の営業戦略の展開を期待したい。

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