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福島県内での再生可能エネルギー電力を、首都圏に送る新規送電網完成。東電福島第一原発の送電網を活用し、「原発に代わるクリーンな電力」を送電(各紙)

2020-01-08 13:50:14

fukushimasoudenn1キャプチャ

 

  福島県内で発電した太陽光発電等の再生可能エネルギー電力を、首都圏へ供給する新規送電網の共用が7日から始まった。福島送電(福島市)が整備した約53kmの共用送電網が完成、太陽光発電の電力を東京電力福島第一原子力発電所内の開閉所に送る送電事業を稼働した。今月中に、県内7カ所の太陽光発電所と接続、年内にさらに4カ所と接続する予定。

 

 

 (写真は、再エネ電力の送電を受け始めた東電の都路変電所)

 

 福島送電は、「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」や「福島新エネ社会構想」に基づき、再エネ拡大のため設立された。福島県や市町村が出資する福島発電(福島市)と東電HD、東邦銀行、福島商事が共同出資している。

 

 東電福島原発事故後、福島県内には多数の太陽光発電や風力発電が計画され、稼働してきた。だが、既存の送電線網の容量に空きがないことから、2018年から総工費290億円を投じて送電網の整備工事を進めてきた。

 

福島送電が設置する送電網(赤い線)
福島送電が設置する送電網(赤い線)

 

 整備された送電網は、福島第一原発事故で原発電力を送電しないままになっている同原発の超高圧送電網に接続する。これにより、原発電力に代わって、再エネ電力を福島から首都圏に送るクリーンエネルギーの系統連系が整うことになる。

 

 送電網は、福島県の海岸エリアに25km、阿武隈高原エリアに27kmの送電線を整備した。海岸エリアは福島第一原発の開閉所へ6万㌾に昇圧して送電する。山側は6万㌾から15万㌾へ昇圧し、東電の都路変電所へ送って50万㌾へ昇圧するという。

 

 年内に接続する11カ所の太陽光発電所(発電規模は合計約23万5000kW)に達する。さらに2021年度以降に山側に2カ所計28kmの送電網を追加建設する。南相馬市から、いわき市に至る阿武隈高原に建設される計画の風力発電所(発電規模は合計約70万kW)のうち、9カ所ほどの計36kWを同送電網で送る構想。

 

 また福島送電は、今回の計画外でも県内の再エネ発電事業者から要請があれば、新規接続を検討する。この送電網を活用することで再エネ発電事業者は自営線の負担がなくなるメリットがある。

 

 電力の広域運営機関は、廃炉が決まっている東電福島第二原発の送電網についても再エネ電力用に活用する計画も進めている。東電第一、第二の原発用の基幹送電網を活用することで、福島県沖で計画されている洋上風力発電所などの送電網を確保できることにもなる。「原発の福島」から「再エネの福島」に本格的に転換できる期待がある。

http://fukushimasouden.com/

https://www.minyu-net.com/news/news/FM20200107-448223.php

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00543667?isReadConfirmed=true