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三菱商事によるベトナムでの石炭火力発電事業、別の案件のビンタン第3発電所でも暗雲。金融面の取りまとめ役の英HSBCが撤退の方向(RIEF)

2020-01-31 20:36:01

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 三菱商事のベトナムでの石炭火力事業に、小泉進次郎環境相が反対を表明したが、同じ三菱が関わる別のベトナムでの石炭火力事業にも暗雲が生じてきた。ファイナンシャルアドバイザーとして参加してきた英銀HSBCが撤退の方向であることが明らかになった。同事業への融資団は中国勢中心。欧州勢が石炭融資撤退を明確にする中で、日中勢の石炭固執の姿勢がより鮮明になってきた。

 

 (写真は、昨年9月に拡張工事が完成した、隣接するビンタン第4発電所)

 

 HSBCが撤退方針を固めたとされるのは、ベトナム南東部で進められているビンタン(Vinh Tan)第3石炭火力発電所事業。総事業費20億㌦、発電容量1980MW、年間発電量120億kWh。年間CO2排出量1100万㌧。2020年の建設開始予定で、完成見通しは2024年としている。

 

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 ビンタン発電所は、第2発電事業が2014 年に稼働したのを皮切りに、2018年に第4事業、19年に第1事業、同年に第4拡張事業の順で稼働している。その結果、同地域では、発電所由来の大気汚染物質が拡大し、また貯炭場やアッシュ・ポンド等による汚染も深刻化している。また海洋に面していることで、沿岸部のサンゴ礁やウミガメなどへの海洋汚染等の懸念が示されている。

 

 ビンタン3石炭火力事業は、香港のCLPホールディングスと三菱商事の子会社「Diamond Generating Asia(DGA)」の合弁会社のOneEnergy Ventures Limitedが49%、ベトナムのElectricity of Vietnam Group (EVN) 29%、タイのThai Binh Duong Group 22%を出資して設立したSPVが事業主体。

 

 DGAは三菱商事が2009年に設立した子会社で、東南アジアでの民間発電事業を統括する戦略事業を展開している。一方、金融面は、HSBCはファイナンシャルアドバイザーを務め、資金の出し手は中国の国家開発銀行(CDB)を主幹事とし、交通銀行、中国工商銀行(ICBC)、中国建設銀行、中国銀行と、中国の大手金融機関が顔をそろえる。

 

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 HSBCは金融面のアドバイザー役に加えて、投融資金融機関を取りまとめる幹事業務、さらには将来の融資団への参画も見込まれていた。しかし、それらを含めてビンタン第3事業に関するすべての役割から撤退する方向とされる。

 

 HSBCは2017年から19年の3年にかけて、グローバルベースで石炭関連事業向け投融資79億㌦の資金を供給してきた。しかし、ライバルのStandard Chartered Bank(SCB)をはじめとする主要金融機関が、脱石炭投融資に舵を切り替える中で、他社に比べて見劣りが目立っていた。

 

 SCBは昨年12月に、東南アジアで展開してきた石炭火力事業向けのすべての投融資から撤退すると宣言した。その中には、今回のビンタン第3発電事業のほか、小泉環境相が反対姿勢を示したブンアン第2も含まれている。

 

 これに対してHSBCは、2018年に改定した気候政策で、ベトナムやインドネシア、バングラデシュ等の途上国での新規の石炭火力事業へのファイナンスは継続することを明記している。今回のビンタン第3発電事業からの撤退が、個別案件としての扱いなのか、あるいは気候政策そのものを改定することになるのかは、現時点では不明。

 

 三菱商事は、昨年9月に完工したビンタン第4発電拡張事業にも参画している。同事業は斗山重工業とのコンソーシアムで推進、東芝がタービンと発電機を供給した。

 

https://www.hsbc.com/media/media-releases?page=1&take=20

http://www.mekongwatch.org/PDF/VinhTan3_FS.pdf