HOME11.CSR |アパルトヘイト国家イスラエルへの「サンリオ・ショップ」出店に関する公開質問書(パレスチナの平和を考える会) |

アパルトヘイト国家イスラエルへの「サンリオ・ショップ」出店に関する公開質問書(パレスチナの平和を考える会)

2011-06-26 10:52:53

kitty-anm
(パレスチナの平和を考える会のサイトから):

株式会社サンリオ 代表取締役社長 辻信太郎 様
cc : Sanrio GmbH 支配人 辻邦彦 様



私達は、イスラエルによるパレスチナ人に対する人権侵害の問題について取り組んでいる市民団体です。

2011年6月2日付のイスラエル紙イェディオット・アハロノット紙の記事(ヘブライ語)によると、6月下旬、テル・アヴィヴにオープンする予定の店舗を第一号として、「ハロー・キティの店」をイスラエル国内18箇所(年内で8~10箇所)に開く予定であるとされています。東京本社総務課の担当の方によれば、今回の計画は、サンリオのドイツ支社であるSanrio GmbHを通じての展開であり、詳細を関知されていないとのことでしたが、当然100%の親会社である貴社がこの件についての説明責任を有しておられると存じますので、本社宛てに質問書を送らせていただきます。

さて、貴社が進出しようとしているイスラエルは、パレスチナの違法占領を継続し、違法入植地の建設、ガザ地区の封鎖を継続するなど、多くの国際法・国連決議に違反し、パレスチナ人に対する人権抑圧を続けているアパルトヘイト国家です。2008年年末から09年1月にかけてガザ地区で400人以上の子どもを含む1400人以上の住民を殺害したこと、2010年5月、ガザ地区に支援物資を運ぼうとしていた支援船を公海上で襲撃し、9名の支援ボランティアを殺害したことは、記憶に新しいことかと存じます。

こうした戦争犯罪・人権蹂躙に対し、パレスチナ人だけでなく、イスラエル市民を含む世界中の平和を求める人々が抗議し、イスラエルに対するBDS(ボイコット・資本引き揚げ・経済制裁)キャンペーンを呼びかけています。こうした平和をもとめる広範な市民の呼びかけに真っ向から挑戦するかたちで、貴社がイスラエルへの積極的な経済進出を目指されていることについて、私達は、一市民、そしてサンリオ商品の一消費者として、強い疑問を感じざるを得ません。

貴社は、「サンリオ・コンプライアンス憲章」行動原則のなかで、(1)他人の物を盗まない、(2)暴力をふわない、(3)嘘をつかない、(4)法律を守る、などの原則を定められており、私達は、これを高く評価するものです。しかし、イスラエルは、これらの「普遍的な規範」のいずれに対しても著しく反した行動を取り続けています。とりわけ、(2)の小項目「1.すべての人が等しく有する基本的人権を尊重するとともに、‥‥国籍、人種、‥‥宗教‥‥などを理由とした差別や不利な取扱いを一切行いません」、(4)の小項目「1.国内外の法令や社会規範及び会社規程を遵守‥‥」については、貴社が同国に進出することで、貴社自身の手によって必然的に破られざるを得ないものになると私達は考えます。

多くの子供たちに愛されているキャラクターを生んできた貴社が、戦争犯罪・アパルトヘイト政策に加担されようとしていることを深く憂慮し、以下の諸点につき、質問させていただきます。

  1. イスラエルの戦争犯罪行為が世界中で非難されているなかで今回の出店計画が進められた経緯について詳しく教えてください。その際、イスラエルがパレスチナ人に対して行っている深刻な差別・人権侵害行為についての検討は行われましたか?


 

2.イスラエル入植地は、ジュネーブ第4条約をはじめとした国際法に対する重大な違反です。イスラエル入植地内に、サンリオ・ショップや、店舗内ブランド・コーナーが作られる可能性は契約上排除されていますか?

3.占領地のみならず、イスラエル国内においてもパレスチナ系市民に対する様々な人種差別が行われていることは、国連人種差別撤廃委員会の報告書などによって明らかとなっています。今回予定されている18店舗のうち、イスラエル国内のパレスチナ系市民が主な住民である町・地区に設置が予定されているものはありますか?

4.予定されている店舗で、イスラエル入植地からの配達注文には応じることになっていますか? 一方、西岸・ガザ地区のパレスチナ人からの配達注文は可能となる予定ですか?

5.貴社が出店を予定されているイスラエルの店舗において、入植地出身のイスラエル人入植者が雇用される可能性はありますか?また、西岸・ガザ地区のパレスチナ人の雇用は予定していますか?

6.今年2月18日付のイェディオット・アハロノット紙英語版の記事によると、貴社は、海外における最初のフランチャイズ契約をイスラエルのLDI社と交わされているそうですが、これまで、サンリオのブランド商品がイスラエル入植地で生産されたり、販売されている可能性はありますか? そもそも、そのような可能性を排除するために、これまで何らかの具体的対策をされたことはありますか?

7.上記LDI社や今回の出店計画における提携企業、あるいは、それらの系列企業が、パレスチナ占領地における違法入植やイスラエル軍に関係するビジネスに関わっているかどうかの調査・検討はされましたか?

8.提携企業が、現時点においても、そして今後も、そうした戦争犯罪・国際法違反への加担となるビジネスに関わらないという保証は、契約内容に盛り込まれていますか?

9/パレスチナ人に対する人権侵害・戦争犯罪行為は、今後より深刻なものとなっていく可能性が強く、それに伴い、イスラエルに対するボイコット・資本引き揚げ・経済制裁をもとめる国際的な世論がますます大きくなっていくことが考えられます。そうした状況においても、貴社は、イスラエルにおけるビジネスの継続をあくまでも追及されるつもりですか? あるいは、状況に応じて契約を中止されることも想定されていますか?

イスラエル出店をされる前に、以上9項目の質問に対して、貴社が誠実に回答し、消費者に対する説明責任を果たされることを強く要請します。また、万が一、貴社がこれらの質問に対して、十分な回答をできるだけの状況認識をもつことなく、イスラエル出店を考えられていたのであれば、ただちに出店計画を中止されることを心から要請させていただきます。なぜなら、まさかあり得ないとは思いますが、これらの質問に対して、十分説得力のある回答がなされないまま、イスラエル出店が強行されるようなことにでもなれば、私達は、貴社がパレスチナ人に対する差別・アパルトヘイト政策を確信的に追認していると見なさざるを得なくなってしまうからです。

そのような事態は、貴社が、世界中の平和を希求する人々から指弾され続けるアパルトヘイト推進企業へと堕してしまうことを意味します。そして、そのことは、ハローキティなど貴社のキャラクターに対し、その「純真」「無垢」なイメージによって、身近に親しんできた多くの子供たちを悲しませることであり、決して私達が望むことではありません。



貴社からの誠実な回答を心よりお待ちしております。

2011年6月13日(月)
パレスチナの平和を考える会


サンリオに直接、問い合わせや抗議の意見等を伝えたい方は、下記連絡先が適当な窓口になるかと思います。

株式会社サンリオ 広報・IR室 広報課
TEL: 03-3779-8110
FAX: 03-3779-8426

Email: web-info@sanrio.de
(イスラエル出店の業務を直接担っているヨーロッパ・オフィスのメール・アドレスです。日本語でも読んでもらえるとのことです)


【関連サイト】