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「ユニクロ」のファーストリテイリング バングラデシュでの労働安全基準協定に参加せず 人権団体から批判(WSJ)

2013-05-28 15:20:48

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uniquloMK-CD527_JFACTO_G_20130527165933【東京】バングラデシュのダッカ郊外で4月に衣料工場が入居したビルが倒壊し多数の犠牲者を出した事故を受けて、途上国にある国際衣料メーカーの提携先工場での労働慣行に批判的な目が注がれている。

 そうした中で、「ユニクロ」ブランドを展開するカジュアル衣料大手ファーストリテイリングは、バングラデシュで策定が進められている法的拘束力のある労働環境安全協定に当面参加せず、独自に自社提携先工場の災害訓練や建物検査を強化する方針を示した。

 ただ、同社は、協定の実施計画がまとめられれば参加する可能性を残している。ファーストリテイリングは、売上高ベースでアジア最大、世界では第4位の衣料小売業者で、2020年までにカジュアル衣料ブランド首位になることを目指している。

 アジア各地の衣料工場では事故が増加しており、これらの工場に生産を委託する西側の衣料メーカーの対応が非政府機関(NGO)や人権保護団体から問題視にされるようになっている。

 特にダッカ郊外のビル倒壊事故を受けて、途上国の低コスト労働者に対する安全基準を改善するよう、衣料ブランド各社に求める声が強まっている。このため、ファーストリテイリングのライバルであるスウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)やスペインのインディテックスは5月に入り、法的拘束力を持った火災や建物の安全協定に署名する意向を表明した。同協定には、欧州の小売業者を中心に30社超が支持を明らかにしている。

 一方ファーストリテイリングは米小売り大手のウォルマートやシアーズ・ホールティングス、JCペニー などとともに協定に参加しない方針を示すなど、世界の小売業界の対応は二分されている。米衣料大手ギャップ も現在のところ参加しない意向で、その代わり法的拘束力をなくし安全協定を順守しなかった企業を除名する修正案を提示している。

 ファーストリテイリングは、火災・災害訓練の強化など独自の安全改善計画を策定する方針を明らかにした。社会的責任(CSR)グループを統括する新田幸弘グループ執行役員は、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、同社がまず、自分たちが今できることに集中したい意向だと述べ、日本企業に依頼してバングラデシュの提携先工場の建物検査を強化する計画を示した。

 その一方で新田氏は、H&Mなど協定署名各社が目標達成の方法で合意し、各種措置に実効性があると判断されれば、協定に参加する可能性があるとも述べた。

 これに対し、人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」アジア部門のフィル・ロバートソン副部長は「ユニクロが協定に参加しないのは極めて近視眼的だ。途上国の労働問題は組織的に解決する必要があり、1企業やそのサプライチェーンの問題ではない」と述べ、ファーストリテイリングの対応を批判した。

 

http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323625804578509940063150504.html?mod=djem_Japandaily_t