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東芝、米の原発子会社WHの損失 ようやく公表 総額約1156億円分 東証が開示基準の違反指摘(各紙)

2015-11-18 13:28:29

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東芝は17日、原子力事業子会社の米ウエスチングハウス(WH)が過去の決算で巨額の損失を計上したのに公表しなかったことで、東京証券取引所から開示基準違反と指摘されたことを認めた。

 東芝が同日公表した2012~13年度のWH関連の損失額は合計13億㌦で、発生当時の為替レートで換算すると約1156億円。東芝は子会社の損失が連結純資産の3%以上になる場合、開示を定めている。東芝の12年度の連結純資産は約1兆2000億円で、このうちWHの減損処理額は6%だったにもかかわらず、東芝は2年以上も公表しなかった。

 

 

 

 一方で、東芝は一連の会計不祥事による有価証券報告書の虚偽記載などで、証券取引等監視委員会から70億円超の課徴金支払いの行政処分を勧告される見通しになった。課徴金の金額は過去最高で、監視委は虚偽の決算情報を公表しながら社債などで投資家から資金を調達した事実を重く受け止めたとみられる。

 

 WHの減損額を開示しなかったことは監視委の虚偽記載対象には含まれていない。しかし、WHの業績は、東芝本体にとっても主力事業の収益性に関わる重要事項だけに、同社の投資家軽視の姿勢が改めて問われそうだ。

 

東芝によると、2011年の東京電力福島第一原発事故の影響で世界的に原発の新規建設が延期された。これを受け、WHは12年度にプラントの建設などを請け負う「新規建設」部門で約6億8000万㌦(約557億円)、原発の監視制御システムの保守を担う「オートメーション」部門で約2億5000万㌦(約205億円)を計上していた。13年度も新規建設事業で約394億円の減損処理をしていた。

 

 東芝は今月、15年9月中間決算でWHが過去に減損処理を行ったことは公表したが、詳細は明らかにせず、その後、ドルベースの金額を公表するなど情報を小出しにしてきた。日本取引所グループは17日、「12年度の減損は適時開示基準に該当しており、開示すべきだった」と指摘した。

 

 東芝本体の決算ではWHの減損を反映していない。WHの買収による「のれん代」として約3500億円を資産計上しているが、同社は「連結決算では他部門も含めた原子力事業全体として評価する」として資産価値を維持している。

 監視委の東芝の会計不祥事に関する検査は、東芝が9月7日に発表した過去7年分の決算訂正を踏まえて行われている。歴代の東芝経営陣の損失先送りによる利益修正額は2248億円にのぼる。従来は黒字と公表した数値が赤字に変わった期が複数あり、当時の投資家の投資判断を大きく狂わせたとして、監視委は金融商品取引法上の「開示書類の虚偽記載」に当たると認定した。

 

 現在、課徴金額70億円台半ばとする案が有力。ただ今回の不祥事が社会問題化した点を重く見ており、最終的には80億円を超える可能性もあるという。監視委は金額を確定したうえで11月末にも課徴金処分を金融庁に勧告する。これを受けて金融庁が、東芝に行政処分を下すことになる。

 

 東芝はすでに課徴金処分を前提に、15年3月期に84億円の引当金を計上しており、今期の決算への影響はないという。会計不祥事に関する過去最大の課徴金は、IHIが2008年に支払った16億円で、東芝の課徴金額が大幅に上回るのは確実だ。

 

http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20151117_1.pdf