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オリンパスは “CSR優等生”? CSR報告書は高水準(FGW)

2011-11-21 12:46:13

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損失隠しが表面化しているオリンパスだが、同社のCSR報告書(社会環境報告書)をみると、“CSR優等生企業”であることがわかった。経営理念である「Social In」をCSRマネジメントの軸に据え、CO2排出量についても2020年度までに半減(2007年度比)させる長期目標を宣言するなど、温暖化対策強化に反対する日本経団連とは一線を引いた積極姿勢をとってきたことがわかる。

「Social In」とは、企業も社会の一員であることを認識して、「世界中の多様な価値観をもつ人々に必要とされる存在として、人々の健康と幸せな生活を実現するために、常に社会の求める価値を提供し続ける」という経営理念。わかりやすく言うと、社会のためになる経営・事業を推進するということである。

2011年版のレポートのうち、特にコーポレートガバナンス体制についてみると、①経営上重要な事項についての迅速な意思決定と業務遂行の適切な監督を実施②取締役の成果を毎年評価することでその責任を明確化③執行役員制でガバナンスの強化④社外取締役には独立的な立場による取締役会での意思決定や監督‐‐等を撮っていると説明している。キャッチフレーズは「迅速な判断と適切なチェック」。この適切なチェックが全く行われていなかったことについては、当然だが、レポートでは一切触れられていない。

 またオリンパスは国連が推進してきているグローバル・コンパクトにも署名している。レポート(2010年版)に対する読者からのアンケートも実施しており、それによると「とてもよい」「よい」の回答を合わせると83%が同社のCSR内容に共感を示している。

CSRレポートでは優等生ぶりが際立つが、逆に言うと、CSRレポートを読んでいるだけでは、当該企業のガバナンスの成否も、コンプライアンスの課題も一切見えないということでもある。グローバルコンパクトへの署名も、GRIガイドラインへの準拠の度合いも、いずれも「外形的」なものでしかないことも、明らかである。不祥事企業が“CSR優等生”であったということは、日本企業のCSRの水準と中身の妥当性の議論を提起しそうだ。

http://www.olympus.co.jp/jp/corc/csr/access/download/2011_update/pdf/2011_01.pdf